出会い系依存の知人がHIVに感染しました。
その子の話を書くのは、少しだけ、エネルギーが要ります。
体液の交換は、愛のある人としかしてはいけません。
『SEXは誰としても構わない』と思っています。
私もしたいです。
ただ、体液はダメです。
一夜限りの関係が連続するリスクは、計り知れません。
献血をHIV検査の為に利用してはいけないのですが、血液検査でわかる時もあります。
彼女もそうでした。
私がこの記事を書く理由は、私の小さな行動が、社会の歯車の一端とまでは言いませんが、不特定多数とのSEXの危険性を少しでも訴えたいから。
要は自己満足です。
私にとって苦手なタイプの人間

知人、同僚、友人、親友。
付き合う人を色々なくくりで区分すると、今から書く女性は「元同僚」になります。
いつ頃の同僚なのかを書くと、万が一本人を特定されたら大変なので、詳細は割愛します。
私は別け隔てなく人と付き合えますが、苦手な人はもちろん居ます。
出来たらバッタリ会うのも避けたい位、苦手なタイプの人です。
美奈子(仮名)は、私と真逆でした。
仕事なのにピンヒール、クルクルの巻き髪、マニキュア、香水、煙草、バーキンのバッグ、濃いメイク……挙げたら切りがなく、プライベートは何でもありでいいけれど、“仕事の場”に必要のないモノばかりを持ち込んでいました。
彼女は、私の勤めていた職場に後から入社してきました。
履歴書を事務の子と見ながら、「げっ!同じ歳??」と驚いてしまいました。
写真は綺麗なんだけど、どこかくらーい印象で、なぜ採用されたのかが不思議でした。
社長のことだから、「何か使える所がありそうだ!」と見込んでの採用なのだろうけど、『小さい個人会社にこれ以上社員は要らないのにな…』と思ってました。
私は企画と営業を担当しています。
営業と言っても、ほとんどは接待の段取りと、社長との飲み方専門です。
それだけに秀でた営業ってのも変だけど、色気は無いものの、多方面に受けがいいので、相手方の企業様には喜ばれていました。
『これが仕事でいいのか?(笑)』といつも思っていたけれど、色々と勉強になり楽しかったです。
美奈子は営業をしていました。
会社と同じ職種の営業を、大手でしていたこともあり、企業相手の営業をすることになりました。
事務所は2ヶ所あり、私の企画部は、本部とは別枠だったので、1人で気楽にやっていました。
ある日、社長はゴルフで居ないし、仕事も無いし、電話を転送にして「よっしゃ!映画にでも行っちゃお~♪」といそいそと準備していると、彼女が訪ねてきました。
(げっ!)
一緒にランチをしないかと言います。
「いや~しない!」
とは言い切れず、付き合うことに。
出来たらプライベートな話はしたくないので、当たり障りの無い話をしていると、話しやすいと思ったのか、それはそれは赤裸々な話を、良く知りもしない私に話してくれました。
人それぞれなのだろうけど、信頼関係が無くて心を閉じている状態だと、なかなか“自分の話”って出来ないものですよね?
私は誰にも語らずに生きてきました。
だからある時、ダムが決壊するように、立ち上がれなくなる思いもしました。
今は元気ですが、やはり胸の内を誰かに託す時も必要です。
出会い系サイトの良さは、お互いに日常を知らない間柄ながら、悩んでいる事や抱えている事が似ていたりするから、凄く話しやすいし、“私”を知らないながらも、誰にも語ることが無かった本当の“私”を語れます。
だからと言って、誰にでも話せる訳ではありませんけどね。
美奈子の話に戻ります。
彼女は『エキサイトフレンズ』という出会い系にハマっていて、ポイントが貰えるという理由で、私に登録しないかと勧めてきました。
速攻、断りました。
興味無いし、必要無いし、怖いし。
私は仕事をサボって、映画に行きたかったのだけれど、仕方なく美奈子と行動を共にしました。
そして彼女から、「隣の町まで出会い系の男に会いに行くから、車で送って欲しい」と頼まれたのです。
もう1人連れて来るから、もう1人呼んで
仕方なく、美奈子を乗せて隣町へ。
1時間程の車中、話を聞きながら向かいました。
車の中は、お互いに正面を向いているから話しやすいです。
だから、少しだけ深い話しになり始めました。
美奈子はバツ2。
子供が2人、それぞれの相手との子で、犬が1匹居て、子供の面倒はご両親が見てくれていること。
新しいパートナーを探していること、ミニバレー大会で気に入った父兄に手を出したこと…。
出会い系の相手を、次々に渡り歩いているということ…。
出会ったヤリチン男を、性欲の吐け口として利用しているということ…。
出てくる話が凄すぎて、多分私はこんな顔(゜ロ゜)をしていたと思います。
彼女のルックスは、男なら「NO」とは言わない位の美人です。
最大のショッキングな打ち明け話は、彼女の父親との関係です。
詳しくは書きませんが、端的に言えば…近親相姦を受けていたという事です。
その後の話は聞きながら、上の空…その事で頭がイッパイになり、ホヤーンと聞いていました。
それだけの出来事があって、どうして彼女が出会い系にハマるのか……。
アホな頭で気持ちを理解しようとしても、簡単には理解出来ませんでした。
そうこうしている内に、待ち合わせの場所に着きました。
すると、男が車を寄せて来ました。
美奈子はそそくさと、相手方の車に乗り込みました。
見送った私が『ヤレヤレ…』とハンドルを切ると、知らない男の人が窓を叩きます。
「??何か??」
男が車に乗り込んで来ました。
「ちょっ…ちょっと」
私は、急な出来事に驚きました。
「何か用ですか…?」
驚きすぎて、震えが止まらなかったのを覚えています。
「美奈子に『もう1人連れて来るから、もう1人友達を呼んで』と言われ、呼ばれて来た」と言うその男。
「待って下さい!私は、何も彼女から聞いてないし、ましてそんな気もありません、降りて下さい!」
精一杯の声を出して断り追い出し、逃げるようにその場を去りました。
市内に向かって走るも、怖くて怖くて……美奈子に電話をするけれど、電源はオフ。
泣きながら、急いで帰りました。
その、白々しい顔がムカつく
後日、美奈子を私の事務所に呼び出し、「先日のはどういう事だったの!?」と問い詰めます。
開口一番、
「○○(私)さん、貴女が大っ嫌いだからよ!!」
面と向かって、人に「嫌い」と言われたショックと、『一体私が貴女に何をした?』という憤りで…思考が固まってしまいました。
(私が嫌いだから、嫌いだから嫌いだから嫌いだから…)
心の中で繰り返してみても、やはり解かりません。
「私の何が嫌いなの?」
そう聞いてみました。
「その顔が嫌いなんよね!」
「はぁ~?(゜ロ゜)」
しばらくの沈黙…イヤ~な空気が流れます。
どうしようもなくなった私は、
「お茶でも入れよっか?(^^)」
と引きつりながらも笑顔でお茶を入れようとすると、
「その、白々しい顔がムカつくんよね~!」
と言われ、プチンと切れちゃいました。
「○×△○×△○×△○×△○×△!!(暴言)」
日頃の彼女の素行への批判と、以前から思っていたことを一息で言い切りました。
詳しく書けないのは、個人的な内容を含むからです。
美奈子の言い分をまとめると、こうなります。
- 営業先で、私の話題ばかりになるのがムカつく。
- 家族も家庭もあって、幸せそう。
- いつも楽しそうにしている。
……まだまだあったけど、忘れました。
私が嫌いな最大の理由は、社長のお気に入りであること。
確かに、夫婦漫才の様にポンポンと会話を飛ばし、オヤジギャグをやり合う仲ではあったけれど、まかり間違っても男女の関係などありません。
彼女からは、「そうなんじゃないかと疑っている」と言われました。
おいおい、私は貴女じゃないんだから、誰にでもホイホイと女を全面に出して、男を手懐ける様な真似はしませんし、出来ません。
「そういう目で見るから、そう見えるんでしょ?冗談じゃない!バカにすんな!」
美奈子は社長のことが好きで、誘ったけれど、断られたそうです。
(知るかそんなこと!その腹いせで、人をヤリチン野郎の餌食にしようとしたの?冗談じゃない!!)
ひとしきり暴言大会をやりあうと、彼女がポツリポツリと父親の話をし始めました。
彼女は優遇されていた
「近親相姦」
その言葉があまりにも重くて、書きながら何度も訂正と削除を繰り返しました。
『この記事を読む人の中に、その事で苦しんでいる人が居たらどうしよう……』と様々な思いが巡り、なかなか進みませんでした。
Googleでも調べてみましたが、それをここに載せても意味が無いので、近親相姦についてはそれぞれの思う所で……と割愛します。
美奈子の話に戻ります。
お互いに暴言を吐き合ってスッキリしたり、河原で殴り合って寝転がり笑い合うような安い青春ドラマの様にはいかず、私は機関銃の様な彼女の言葉に打ちひしがれているままでした。
父親との一件が、彼女の心に重くのしかかっている事。
話を聞きながら、理解しようとしても、まったく出来ませんでした。
彼女の父親の仕事は特殊なので書けませんが、それでも父親に愛されたかったそうで…。
屈折から屈折、それが全ての根源で、今の彼女が出来上がってしまったのでしょうか。
社長の姿に、理想の父親像を重ねたのかもしれません。
仕事の合間に家庭菜園の手伝いをすることがあり、皆で土いじりをした時、私は大喜びで雨靴持参でジャガイモを掘り、勢い余って尻もちをついたり(笑)
彼女はピンヒール、畑まで降りて来ようとはしません。
どこか高い場所から周りを見下ろす態度を常に取っていました。
楽しそうで、はしゃいでいる私の姿に腹立たしさを感じていたと言うけれど…一緒にアホなことを出来ないのだから仕方ありません。
社長の考えが、『遊びの中に閃きや新しい思考が生まれるものだから、遊ぶ時はトコトン遊ぼう!』というものだったので、朝から温泉街に繰り出したり、鰻を西都まで食べに行ったり……。
そうすることで、閉じ切った彼女の心を開こうとしてくれたのかもしれません。
母子家庭、バツ2ということも配慮し、社用車を与えたり、アパートの敷金を立て替えたり…私から見れば、彼女のほうが優遇されているように見えました。
(弱い立場なのだから仕方ないのかなぁ~)
そう思っていました。
でも、それだけ良くしてもらっておきながら、仕事中に出会い系の男を漁っている事を知ってしまい、より一層、美奈子に対する同情の気持ちは無くなりました。
献血結果が届かぬまま
そんなある日、昼のランチを社長も交えて食べた帰り、献血カーを目にして、
「みんなで社会貢献だ!!」
と献血をすることに。
後日、その結果が各々の家に届きました。
でも美奈子には届かないまま…不安で保健所に検査に行ったそうです。
そして、彼女が私にこう言いました。
「私、HIVに感染してた」
彼女の告白に、その場の空気が固まりました。
美奈子はその後、会社を去りました。
その事実は私しか知りません。
社長に話したかどうかは分かりません。
彼女からの誘いをきちんと断ったのだから、多分…大丈夫だったんだろうと思います。
父親への歪んだ愛情は、彼女自身が愛されたい願望だったのか?
それとも、愛したい願望だったのか?
今となっては分かりません。
ただ、欲し欲されている実感を、出会い系の男に抱かれている瞬間だけ、そこでしか感じられなかったのだとしたら…なんて悲しい行為を繰り返していたのでしょうか。
まとめ

最初に説明したように、献血をHIV検査代わりに使うことは非常に危険で、本当はいけないことです。
でも…美奈子の場合はそこで発覚しました。
HIV感染が不安な人は、献血ではなく保健所に行ってほしいです。
全国の保健所で、匿名の無料検査ができることは、皆さん知ってますよね?
先進国でHIV感染者の数が減らないのは、日本だけだそうです。
1人に向かう気持ちを、相手に対して重たくならない為に、気持ちを分散させながら、さほど好きでもない相手とセックスすることは有りだと思っています。
誰しも寂しい時はあります。
もし、出会い系サイトでそんな事をしている人がいたら…切りのない話だけれど、全ては自己責任ですからね……。
女性はヤリチン男の餌食にならない規制線を、きちんと張るべきです。
また、逆も同じことです。
コンドームは何の為に有るのか、今一度考えてみてください。
出会い系サイトで、安易にヤリチン男を利用する、される位なら、『女性用の風俗があったらいいのに!』とさえ考える時もあります。
気持ちが無いと出来ないとか、そんなことはすっ飛ばして、無性に誰かに抱かれたくなる時は女性にもあります。
人間だもの、動物だもの!
理性が働くから、人間らしくの“らしく”が皮を被っているだけです。
そういった女性の心の隙間に、ヤリチン野郎が蔓延っているのかもしれません。
後に、「美奈子は精神科に入院している」と社長から聞きました。
(自暴自棄になって、出会い系の渦の中でHIVを撒き散らしたりしてはいないだろうか?)
万が一…そんなことを考えてしまいます。
そんな要らぬ分散、本当に止めてほしいです。
最初に『苦手』と思った感覚は今も変わりません。
だから友達ではありません。
仮に大事な友達だったとしたら、知らん顔は出来ないと思います。
HIV感染ルートは身近にあります。
だからこそ、あなたの大切な人のことをきちんと思いながら、日々のセックスに励みましょうね。