当時、新たに風俗ネタを探していた頃、出会い系サイトや無料掲示板などで売春を斡旋している『援デリ』に筆者のエロ潜入魂が震わされた。
まずは援デリについて、ネットや実際に体験した知り合いなどから話を聞いてみることにした。
援デリの仕組みを簡単にまとめよう。
援デリの構成は至ってシンプルであることが分かる。
仕組みは理解したものの、実際に援デリを体験するのには筆者自身抵抗があり、他の方法で援デリを深く知ることは出来ないだろうかと考えた。
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援デリ運営者O氏との出会い
筆者が話を聞いていく中で、風俗仲間の友人から「援デリを運営している人を知ってるから一度会ってみないか」と言われ、迷うことなくお願いをした。
今思えば、普通の人なら足を踏み入れてはいけないと気付くはずだが、当時の筆者に迷いは無かった。
友人はすぐに会う約束を取り付けてくれた。
翌日、池袋の西口にある某喫茶店で、午後1時に会うことになった。
当日の筆者は午後1時を前に、待ち合わせの店に入って待っていた。
友人から「着いたらO氏に電話して」と言われていたので、教えられた携帯番号に電話を掛けると、テンション高めの明るい声で「すぐ行くから待ってて下さい」と伝えられ、電話を切る。
正直、もっと怖い声の人が出るかと思っていたので、少し安心したのだった。
およそ10分後、短く整えられた髪に上下スーツでビシッとした服装の人物が現れた。
パッと見「某上場企業の社員です」と言われても全く疑わないだろう。
お互いに自己紹介をすると、筆者と同い年であることが分かり、笑顔になるO氏。
爽やかな表情で語りかけてくるO氏に対し、『本当に援デリを運営しているのか?』と思えたのは、最初のこの時だけだった。
同い年の会社員と話しているような好印象を持てた。
それが、援デリ運営者O氏との出会いである。
援デリ運営者のO氏に、援デリの実態についての話を聞こうと本題へ入ると、笑顔だったO氏の顔が一瞬で曇り、今までの楽しい雰囲気がピリピリと重い雰囲気に一転した。
少しでも話を聞こうと思い、重苦しい空気に負けないよう正気を保ちながらO氏へ切り込んでいった。
O氏が見せた裏の顔
まず、様子を見ながら質問していくことにした。
距離間を大事にしなければ、すぐにでも殴りかかりそうな雰囲気をO氏が出していたからだ。
筆者「実際に援デリは存在するものなんですか?」
O氏「はい。ありますよ」
筆者「具体的には、どうやって運営しているんですか?」
O氏「それを聞いてどうすんの?」
今までの明るい声ではなく、腹の底に響くようなドスの利いた声に変わった。
前のめりになってグッと顔を近づけてくるO氏。
あまりの威圧感に声が出なくなる筆者。
O氏「まぁ、いいや」
筆者「…」
O氏「どうやって運営してるかなんて、今日会った知らねぇヤツに教えないから」
「立ち入り禁止」の看板を立てられたように思えた(実際には見えないのだが)。
O氏は携帯を2台持っていて、常にそれを弄っている。
筆者はその様子をジッと見ていた。
O氏「ごめんね。急に忙しくなっちゃって」
筆者「いえいえ、大丈夫です」
O氏「今ね、お客さんと連絡取ってるのよ」
筆者「お客さん?」
O氏「そうそう、こうやってね」
O氏はそう言って携帯を見せてくれた。
そこには、普段誰しもが使っているアプリと、女性として男性とやり取りしている一部が映っていた。
「仕事が忙しいから、また時間を見つけて飲みながら話しましょう」とO氏から言われ、その場は別れたのであった。
O氏の提案
次の日の夜にO氏から連絡があり、「今飲んでいるので来ませんか?」とお誘いを受け、O氏がいる店へ向かう筆者。
O氏は昨日の表情とは打って変わって、出会った時と同じような明るい表情だった。
どこかホッとしながら朝まで飲み続け、同い年ということでウマが合ったのか、小さい頃の話をしたりしていた。
飲み明かした朝。
O氏「援デリのこと知りたいんでしょ?」
筆者「そうですね」
O氏「ウチらだって、信用していない人間に何かを話すのはリスクがあるの分かるよね?」
筆者「もちろんです。当然ですよ」
O氏「いくら知り合いからの紹介でも俺が信用できないと無理だし、少しウチの事も知ってしまったからね」
筆者「どうすればいいですか?」
O氏「今から事務所に行くから、事務所で1週間生活してみてよ」
筆者「それは…さすがに仕事もあるので無理ですよ」
O氏「そっか」
O氏「お前、あんまりなめんなよ」
このまま断ったら友人も怪しまれ、タダでは済まないかもしれない…。
結局、『1週間だけ我慢すればいいんだ』と何度も唱えながら、O氏に連れられて事務所へ行くことにした筆者。
その1週間が、衝撃的な毎日の連続だとは思いもしなかったのだ。
援デリスタッフ就業
援デリを運営している事務所に1週間住む事になった筆者。
泊まる場所が普通ではない事もあり、その時の筆者は『本当に生きて帰って来れるのか…?』という不安に襲われていた。
O氏の事務所は池袋駅の西口から10分程歩いた、マンションやアパートが建ち並ぶ住宅街にある。
オートロックが完備されているマンションの7階がO氏の拠点。
援デリの事務所がこんなに綺麗なマンションにあるとは思わなかった。
O氏に連れられて部屋の中に案内されると、間取りは10畳か11畳程の1DK。
綺麗に掃除された室内には、いくつもの段ボールが積まれている。
すると、入口のドアが開き、男性1人と女性1人が部屋に入って来た。
男性は派手な服装に長髪、街で見掛けるキャッチやスカウトを想像して欲しい。
もう1人の女性はメガネを掛けていて、肩くらいまでの黒髪。
パッと見は真面目な印象を受けた。
O氏「店長のFと女性スタッフのI、どっちも『打ち子』やってるから。それと、今日からここで1週間体験で打ち子やってみて」
筆者「えっ?僕がですが?」
O氏「そうだよ。他に誰がいるの」
一緒に生活するとは聞いていたが…まさか援デリの仕事を手伝わさせられるとは思っていなかった。
後にも引けない状況に戸惑う筆者だったが、O氏は2人とドンドン話を進めてしまう。
その後、F氏とI氏に挨拶を済ませると、F氏から簡単な説明を受けることになった。
F氏「事務所にいるスタッフはお客さんを獲得するのが仕事です。各自1、2台のPCを使って、出会い系サイトだったり、無料掲示板でお客さんを探すんです」
筆者「何時から何時まで業務するとかはあるんですか?」
F氏「ありますよ。24時間やってたら死んじゃいますから。一応、10時〜22時までですが、お客さんがいたら24時を過ぎる事もありますし、その時その時ですね」
F氏「説明してても時間がもったいないので、実際に打ち子をやってみて下さい」
こうして、遂に援デリに足を踏み入れる事になったのである。
“ワケあり”じゃなきゃ援デリはやらない
打ち子をするには、まず出会い系サイトに登録しなければならない。
その際は女性として登録をすることになるのだが、F氏が客を見つけやすい某有名出会い系サイトを教えてくれた。
サイトの登録自体は4、5分で完了した。
次は「女性」のプロフィール設定をしていく。
特に時間を使って教えられたのはプロフィールの書き方だった。
いかに魅力のある本物の女性を表現できるか?
いかに本当に会いたいと思わせることが出来るか?
この2つが重要ポイントとのことだ。
ダメ出しをもらいながらも何とか完成。
O氏や他のスタッフが使用しているアカウントを見ると、そのクオリティの高さに驚いてしまった。
仮に筆者が出会い系サイトを利用していたら、引っ掛かってしまいそうになるほどプロフィールの作り方が上手い。
最後にプロフィール写真を設定するのだが、女性の写真はSNSを利用して探すことが多いらしい(これまではどこかのサイトから拾うのかと思っていた)。
O氏曰く「最近の客は援デリの見分け方を知っている」とのことで、他のサイトから拾ってもすぐにバレてしまうそうだ。
筆者も適当な写真をアプリを使って加工し、サイトにアップロード。
これで全ての準備が整った。
O氏「ウチの店に居るキャストは8人。大体25歳前後で顔はバラバラだけど、体型は太めが多いから」
筆者「そうなんですか…」
O氏「痩せてて可愛いコは普通にキャバとか風俗で稼ぐからね」
筆者「普通じゃない女性が多いんですか?」
O氏「まぁ、“ワケあり”って事。普通じゃないキャストなんて腐るほど居るしね。じゃなきゃ援デリやらないよ」
そう笑いながら話すO氏は、「いつかキャストに会わせてやるから」と言い、PCで客探しを始めた。
この後、O氏を含めたスタッフが簡単に客を確保する光景を目の当たりにする。
かく言う筆者も、初客を獲得できるようになるまでには数時間あれば十分だった…。
援デリの「打ち子」として初客を獲得したのは、就業から4時間後のことである。
筆者の場合はアダルト関連のライターをしていたことがプラスに働いてくれた。
普通の打ち子であれば、数日は客を取れない状態が続くそうだ。
周りを見ると、O氏の凄さを知ることになったのだ…。
O氏の店は1日40万円程を売り上げていると聞き、初日が終わる頃にはその事実を痛感させられた。
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“落とす”目安は2、3通以内
実際に出会い系サイトを使ってどうやって客を獲得するのか?
そのテクニックは何通りもあるのだが、最初はログインして間もない男性ユーザーを狙う。
1日にメールを何百通も送り、返信を待つのが基本である。
この方法で筆者も初客の確保に至った。
出会い系サイトにはユーザーのログイン時間が表示される為、援デリ業者はそれを細かくチェックしているのだ。
O氏たちは、メールの送信業務を「営業」と言っていた。
男性を“落とす”目安は2、3通以内。
大量にやり取りするため、メールの文章は作成したテンプレートを使用する。
出会い系サイトでは同じテンプレートを使い続けるとアカウントが停止する事もあり、テンプレートは1日置きに少しずつ変えていく。
つまり、ログインした瞬間にメールを送ってくる女性は援デリ業者の可能性が高いのだ。
O氏のメールの破壊力
O氏の店では1日約20人の客を獲得していたのだが、その半数はO氏が確保していた。
まず印象的だったのは、テンプレートの作成が抜群に上手かったことで、150通メールを送ると30人には「会いたい」と言わせてしまう。
テンプレートは作り込めば作り込むほどワザとらしくなり、業者と思われてしまう事から、O氏はあえてシンプルな文章を使っていたのだ。
O氏「客はエッチしたくて仕方ないんだから、メールだけでエロをイメージさせればすぐ落ちるよ」
O氏のテクニックを簡単に説明すると、1通目はシンプルな文章で素人を装い、2、3通目で男性ユーザーが興奮するキーワードを入れ、条件も一緒に送ってしまうというもの。
良いことではないが、天性の才能があると思ってしまったのだ。
獲得した客との待ち合わせ時間になると、キャストの女性に連絡を入れ、待ち合わせ場所の近くで待機するよう指示。
O氏(スタッフ)はサイト内で交換した連絡先を通じて、客を待ち合わせ場所へ誘導。
客が待ち合わせ場所に着いたら、待機中のキャストに服装などを伝えて向かわせる。
これが、援デリ業者の基本的な流れである…。
援デリ業者のテリトリー
筆者が初日に獲得した初客は、昼間にメールを送り、夕方に会う約束を取り付けた。
メールアドレスを交換して客とやり取りするのだが、待ち合わせについては聞いていなかった筆者。
O氏に待ち合わせ場所を聞くと、「池袋では使っていい場所が数ヶ所ある」と言う。
しかし、『待ち合わせ場所はどこでもいいのでは?』という疑問が湧いてきた。
筆者「待ち合わせは池袋駅近くならどこでも良いってわけではないんですね…?」
O氏「そうね。援デリは色々なグループがあって、縄張りみたいな感じで決めてるのよ」
『お互いにジャマしないで仲良くやりましょう』ということだそうだ。
筆者が指定された待ち合わせ場所は、池袋駅西口を出て少し歩いた所にある「マ●イ」。
ほぼO氏にやり取りしてもらったこともあり、詳しい事は分からないままだったが、2人の客を獲得して初日を終えた。
22時になると、O氏はキャストから売上金を受け取るために外へ出て行く…。
今日は19人の客を獲得したので、約40万円を売り上げたということだった。
そして、O氏がいなくなった後、気になっていた事を店長のFに聞いてみた。
筆者「他の業者って一体どれくらい存在しているんですか?」
F氏「うーん…正確には把握できていないけど、都内でも20ぐらいはあるんじゃないかな?」
さらに、ほとんどの主要な駅の近くに点在する事を聞いた筆者。
援デリの規模を知るにつれて、徐々に底なし沼にハマり、身動きが出来ない感覚に襲われるのであった…。
遊び慣れていない男が狙われる
「打ち子」の業務は複雑ではなく、誰にでも出来てしまうシンプルな作業の繰り返しなのである。
延々とメールを送り続けては男性とやり取りをして、待ち合わせ場所まで誘導し、また別の男性へと営業を掛けていくのだ。
筆者は1週間事務所に泊まらなければならない事もあり、閉店後もキーボードを叩いて営業を続けた。
援デリ業者が営業していない時間にメールを送ることで、返信率が上がるという読みである。
だが本当の理由は、「俺と同じくらい落とせるようになったら『キャスト』に会わせてやる」とO氏に言われていたからだ。
援デリの営業時間は11時~21、22時頃までが定番になっているのだが、早朝や夜中は他の業者からの営業メールが極端に減るのだ。
ライバルが少なくなることもあり、メールを送り続けた結果、7、8人の男性を落とすことが出来た。
実はO氏から、「アカウントは3個作って3パターンのキャラを使えば落としやすい」と聞いていたので、バツイチ、家賃が払えずに困っている学生、整形したい人妻のキャラを作成したところ、見事に成功したのである。
O氏曰く、遊び慣れていない男性が多い為、イメージしやすいキャラを設定することで、メールのやり取りをしながら色々と妄想して興奮してしまうそうだ。
また、落ちやすい男性の特徴にも気付くことが出来た。
具体的には、遊び慣れている人はメールの文章もシンプルで、手っ取り早く会おうとしてくるのだが、慣れている分条件に対して厳しい。
一方、遊び慣れていない人は上から目線になりがちなのだ。
と言うのも、後者はコミュニケーションが不足していて、ほぼ出会い系初心者であることから、メールのやり取りではそういった傾向になりやすいのだ。
慣れてくれば、営業メールへの返信文で見分けられてしまう。
寝ずに打ち子をしたことで、晴れてO氏に信頼された筆者。
O氏「1日とか2日でここまでやるとは思ってなかったよ。このまま経験積めば店出せるレベル。ちょっとキャストに会ってみるか?」
筆者「是非、会わせて下さい!」
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キャストと初対面
筆者は負けず嫌いであるが故に、トコトンやったことが良い方向に転がってくれた。
営業終了後には、キャストからの売上金の受け取りを一緒に付いて行くことになったのだ。
一体どこで回収するのかと気になっていたのだが、駅近くのコンビニ前で堂々と現金を受け取るO氏。
人が来ない場所だと思っていたこともあり、驚く筆者。
O氏「K美ちゃんに紹介するわ。新しい打ち子さんなんだけど、センスあるからすぐに店長だよ」
K美「本当!凄いじゃん。私、K美って言います。ヨロシクね!」
挨拶をする筆者だったが…K美さんに驚きを隠せないのである。
パッと見た印象は縦にも横にもデカいので、威圧感を感じてしまうほどだ。
身長は162cmなのだが、ハイヒールが更にデカさを強調している。
アカウント作成時に登録したプロフィール写真とは似ても似つかないのだ。
出会い系でK美さんが来たら、筆者は慌てて逃げ出してしまう事だろう。
次のキャストへ向かう時、O氏はこう言ったのだ。
O氏「K美ちゃんは援デリの中ならB~Cクラスってとこかな。今、『あれで?』って思ったよね」
筆者「はい…。正直Eクラスとかじゃないんですか?」
O氏「Eクラスはもっとヤバイから」
Eクラス:ホスト狂いのA子
援デリのキャストは基本的にだらしない女性が多く、当日欠勤や遅刻は当たり前とのこと。
A子さんは毎日時間通りに出勤して来ると聞いていたので、真面目な女性なのではないかと想像していたが、O氏が「A子はEクラス」と言う意味を知る事になる。
O氏「A子ちゃん、今日もお疲れ様!明日もお願いね」
A子「ブツブツブツ…(聞き取れない声で)」
ジッと下を見ながら、1人でずっと喋っているのだ。
体型は細く、可愛らしい顔をしていたのだが、不気味なA子さんに引いてしまう筆者。
すると、O氏が笑いながらA子さんについて教えてくれた。
O氏「クスリやってるように見えるでしょ。あれ、アル中で酒と一緒に精神安定剤とか飲みまくってるから。あと、毎日稼いではホストに行くのよ。だから服もずっと一緒だし、風呂にも入らない。Eクラスって事が納得できたでしょ。援デリで墜ちていくとA子みたいになるんだよね」
O氏の話とA子さんに会った衝撃が強すぎたのか、何も考えられなくなっていた筆者。
このA子さんが、後に大問題を起こす事になるとは思ってもいなかったのである…。
謎の男達に連れ去られたF氏
キャストと対面し、援デリの怖さを改めて感じながらも、打ち子の業務は変わらずこなしていた筆者。
約束の1週間の業務が終わろうとしていた時、O氏から提案があった。
キャストの売上回収に行ってから、筆者のお疲れ様会を行うことになったのだ。
女性の打ち子Iは「用事がある」と言って帰ってしまい、残りの3人で行くことにした。
実際に働いてみて、援デリについて色々と知れた事は良かったのだが、それよりも筆者は家に帰れる安堵感に包まれていたのである。
残ったO氏、店長のF氏と一緒にA子の売上回収に向かう途中、筆者達はある異変に気付いた。
背後から5、6人組の男達がずっと付いて来ている事を。
チラチラ後ろを気にしながら歩いていると、突然両腕を掴まれて身動きが取れない状態にされたのだ。
横を見ると、O氏も両腕を掴まれて動けない状態になっていた。
そしてF氏は4人の男に囲まれ、そのままどこかへ連れて行かれてしまったのである。
その時、筆者とO氏を掴んでいた男達から耳を疑うような言葉を聞く事に…。
謎の男「A子から聞いたけど、自分ら他のグループの女を引き抜いてるだろ」
O氏「何ワケわかんねぇ事言ってんの?」
謎の男「今連れてった店長さんがやってるらしいじゃん」
O氏「ウチらがそんなクソみたいな事やるかよ」
謎の男「まぁいいや、あとでA子に聞いてみな。アイツ何でも話すからな。じゃ、また」
男達はO氏と筆者を掴んでいた腕を離すと、すぐにタクシーに乗って行ってしまった。
その後、O氏は近くにあった看板を思いっきり蹴り、小さい声で「A子にハメられた」と言ったのだった。
O氏をハメた驚愕の理由
A子から売上を回収していなかった事もあり、O氏がA子に連絡すると、すぐ近くにいることが分かった。
急いで話を聞きに行くO氏と筆者。
O氏はF氏が拉致された事をA子に話し、怒りを抑えながら理由を問いただす。
なぜ他のグループに嘘を言ったのかを聞くと…小学生のような答えが返ってきたのだ。
A子「他のキャストとご飯食べに行ってたでしょ?あれが、ムカついたから。昔いたグループに嘘言ってやったの。私ともご飯食べよ~よ」
O氏「ふざけてんのか」
A子「だって、いつもご飯連れてってくれないのに、なんで他のキャストとは行くの?焼肉が食べたいなぁ~」
ただの嫉妬からとんでもない事件を引き起こしたA子は、悪びれる様子もなく笑っている…。
頭が完全に狂っているとしか思えない。
O氏がA子を掴み、どこのグループかを問い詰めると、都内でもかなり大きいグループである事が分かったのだ。
O氏「●木グループか…さすがにヤバいな」
筆者「どうしますか…?」
O氏「A子、お前今から●木んとこに一緒に行くぞ。Fになんかあったら殺すから」
A子「私、悪い事してないし~」
F氏の安否が分からず焦るO氏と筆者。
O氏は筆者に「ちょっとファミレスとかで待ってて」と言い、無理やりA子を引っ張りタクシーに乗せて向かって行った。
F氏救出の大きな代償
別れてから3時間後、O氏から電話が掛かってきた。
電話に出ると、「Fと一緒に今から帰る」ということだ。
一安心をした筆者も事務所へ戻ってみると、F氏はケガもなく無事だったようである。
しかし、無事に救出できたのは良いのだが、それが条件付きの解放だった事を聞かされた。
O氏曰く、選択肢は2つしかなく、「相手のグループ傘下に入る」か「池袋での援デリを止める」のどちらかを選ぶ事になり、O氏は後者を選んだと悔しそうに言ったのである。
一緒にいたA子は男達に引っ張られて事務所の外へ連れて行かれ、連絡が取れなくなったそうだ。
O氏は「どこか地方の風俗にでも売り飛ばされたんじゃない?」と言っていたが、真相は分からないままだ。
事務所で今後について3人で話し合いをした結果、F氏は身の安全を考えて援デリを辞めることに。
今回は無事だったものの、次は何があるか分からないので仕方がない決断である。
ここでO氏からお願いをされる筆者。
O氏「こんな事起きてすぐで本当に申し訳ないけど…新しい打ち子が入るまで一緒にやって欲しい」
筆者「Iさんがいるじゃないですか…」
O氏「2人だけだとさすがに厳しいから。少しだけお願い」
O氏の熱意に根負けしてしまった筆者。
思わず「恐いですけど、あと少しだけなら…」と答えてしまったのである。
打ち子を1週間体験しただけだったが、ここからは場所を池袋から新宿へと移して援デリを運営していく事になる。
今までのキャストと打ち子のIは池袋に住んでいて、新宿には付いて来なかった…。
結局、O氏と筆者の2人きりになってしまったのだ。
この時は業務に慣れてきたこともあり、あと少しだけ続けて辞めようと思っていたのだが、新宿で援デリを運営する大変さを身を持って知る事となるのであった…。
新宿での援デリ開業準備
池袋で援デリを続けられなくなってしまったO氏と筆者。
新たに新宿で援デリを営業することにしたものの、開業にあたり、決定事項が山ほどあった。
まずは事務所を探すことになるのだが、基本的に援デリ業者は足が付かないよう、マンスリーマンション(短期型の家具付きマンション)を借りるのだ。
裏の仕事をしているのにも関わらず、あっさりとマンションを借りられてしまう実態に驚くのであった…。
開業準備1.事務所を借りる
少し家賃は高くなってしまうのだが、ガサが入る可能性もあるため、オートロックを完備しているマンスリーマンションを借りることが重要ポイントになるのだ。
インターネットで検索すれば、結構な数のマンスリーマンションが表示される。
その中で、大久保の近くにある家賃も手頃なマンスリーマンションが目に留まった。
すぐに不動産屋に電話をするO氏。
O氏は慣れた様子で話を進めていくのだが、「援デリ」という職業は存在しない。
『どうやって借りるのか?』と思っていた筆者。
実際に「ご職業は?」と聞かれたO氏は「日雇いバイト」と答えるが、「身分が判るものをメールかFAXで送って下さい」と言われてしまったのだ。
O氏は過去に問題を起こしている事もあり、免許証などは何も持っていないのである…。
電話越しに「金出すんだからとりあえず借りさせろや」と強めの口調になり、「お前、俺が死んだらどうすんの?何でもいいから早く住ませてくれない?」と担当の女性を相手に伝えると、上司に代わる事に…。
O氏は男性上司に対して「話分かる人?迷惑かけないから、どうにかしてくれない?」と伝え、電話を切った。
そして筆者に向かい、「たぶん夜電話かかってくるから。上司の人知ってるんだわ。だから大丈夫」と笑いながら話すO氏を見て、改めて恐いと感じたのである。
電話をしたのは夕方だったが、日付が変わる頃、O氏の携帯電話にあの不動産屋から電話が掛かってきた。
O氏は電話に出ると「OK、ありがとう。また連絡するわ」と言って切り、筆者に「借りれたから」とだけ告げたのだった。
実際に裏でどんな繋がりがあるのかは教えてくれなかったが、何かしらの“断れない理由”を握っている事は確かなのだ。
開業準備2.キャストを集める
事務所が決まったら、次はキャストを揃えなければならない。
援デリ業者のキャストの集め方は、大きく2つに分かれる。
1つ目はスカウトから援デリ希望の女性を紹介して貰う方法。
2つ目は出会い系サイトで候補の女性を探す方法である。
すぐに集められるのは前者なのだが、『援デリで働きたい女性は少ないんじゃ…?』と不安に思っていた。
O氏はスカウトに電話を掛け、新宿で援デリが可能な女性を紹介するように話を付けた。
その後、筆者がO氏に先ほどの疑問を聞いてみると…
O氏「(援デリで働きたい女性は)山ほどいる。普通の風俗でも働けなくなった女や闇金に手を出した女。可愛いかどうかは別だけどな」
そう教えてくれたのである。
2つ目の出会い系サイトを使って探す方法は、上手くいけば可愛い女性を集めることが出来るものの、時間が掛かってしまう事がネックなのだ。
具体的には、出会い系サイトの会員女性に『お金たくさん稼げるアルバイトやってみない?』とメッセージを送り、返信が来るのを待つだけである。
今回はキャストを早急に揃える必要があった為、スカウトの紹介で女性を集めることにした。
スカウトから「すぐにでも働きたいって女が2人いますよ」と聞き、O氏と筆者で面接に向かうことになったのである。
開業準備3.キャストの面接をする
キャストの面接は事務所では行わない。
そもそもキャストに事務所の場所を知られると、他のグループに営業妨害をされたり、問題が起きた時に困る為、教えないのが鉄則となっている。
実際に面接をする場所は、主にカフェかカラオケボックス。
カフェは若者が多いので、O氏の場合はオジサンがいても違和感の無い喫茶店を使う。
新宿の「ルノアール」で面接希望の女性を待っていると、70kgはありそうな横に大きいカラダのN菜さんと、大阪から東京に来たばかりのM美さんがやって来た。
面接内容は、免許証と携帯電話、そして風俗経験の有無を聞くだけである。
風俗経験の無い女性はNGとしていたのだが、2人とも風俗で働いた事があると言う。
経験の有る女性に対しては、店で本番をしていたかどうかも聞く。
すると、またもや2人とも本番をしていたと言うのだ…。
唖然とする筆者に、O氏は「一番大事なのは、何分でイカせられるかだから。早い人は10分かからないよ」と告げると、2人に「20分で出て来なければ要らないから」と言い放ち、「明日から出勤して」と伝えて面接は終わったのである。
キャストも集まったことで(2人だが)、援デリ開業の準備は整ったものの、ここまで実質2日も掛からないという事実に驚く筆者であった…。
事務所となるマンスリーマンションが決まり、キャストも手配したことで、援デリを開業する準備は整った。
そして、遂に新宿で援デリを立ち上げることが出来たのである。
しかし、O氏は「新宿は日本で一番援デリ業者が集まってるから、競争は結構厳しいわ」と、いつもの自信に満ちた顔ではなかった。
その表情からは、リアルな厳しさが伝わってきた。
アジア一の歓楽街である新宿は、日本人以外の援デリ業者が多数存在し、更には業者同士の客の奪い合いも日常茶飯事だったのだ。
実際にO氏と筆者も、早々に経験する事になるのであった。
新宿で最も荒れている場所、新宿区役所エリア
営業にあたり、新宿で待ち合わせに使う場所を決めることにした。
そして、O氏が他のグループと話し合いをして確保することになった。
新宿の援デリ業者が使う待ち合わせ場所は大体決まっており、大きく5つに分けられる。
日本人の業者は、主に下記の場所を使っているのである。
新宿の援デリ業者が使う待ち合わせ場所
- 西部新宿駅付近
- ドンキホーテ前
- 花園神社
- 新宿区役所付近
- 新宿区役所向かいのミスタードーナツ前
駅前は援デリ業者にとってリスクが高い。
そのため、駅から離れていて、尚且つラブホテルが近くにある場所が基本的な条件である。
O氏と筆者が使える待ち合わせ場所は、⑤のミスタードーナツ前になったのだが…実はこの一帯は、中国人や韓国人の援デリ業者が巣食う場所だったのだ。
そして、この場所こそが、新宿で一番荒れているエリアなのである。
中国人や韓国人が営業する援デリ業者は、自分達で客を探すことをせず、他の援デリ業者がアポを取り、待ち合わせ場所に来た客を横取りする事で有名だったのだ。
中韓の援デリ業者は目立たない所に隠れていて、中々見付けられない事が多く、日本人の援デリ業者はその実態を掴めないまま、被害だけが増えている状況であった。
客を横取りされる日々
心機一転、新宿の事務所で営業を再開してみると、池袋に比べて客が落ちやすい(アポを取り付けやすい)のだ。
サラリーマンが会社帰りに新宿に寄ることが多いのか、O氏も筆者も会う約束は簡単に取れていくのだった。
出会い系サイトを介して探した客に、『業者じゃない』と信じ込ませる効果的な手段は、客に電話をすることである。
客から電話番号を聞き、キャストに非通知で掛けさせると、ほとんどの客はあっさりと信じてしまうのだ。
番号を教えるのを嫌がる場合は、LINEなどの無料通話を利用して行うのである。
スタッフはO氏と筆者しかいないので、とにかくすぐに番号を聞き、キャストに掛けさせるを繰り返しては、客を待ち合わせ場所に誘導していた。
だがある日、「待ち合わせ場所に着いた」と客から連絡が来て、キャストを向かわせると誰もいないのだ。
最初は冷やかしだと思っていたのだが、同じ事が何度も続き、オカシイと思い始めてきたO氏と筆者。
そこに、連絡が途絶えた客からのメッセージを受信して驚いた。
客『あれ?今まで一緒にいたじゃん』
O氏『え?そんなはずないよ。どこに行ってたの?』
客『●●の501号室でシタじゃん』
他の客からも同じようなメッセージが届く事に…。
ここで、ようやく客を横取りされていた事に気付いたのである。
客にどんな女性かを聞いてみると、日本語はカタコトだったが、思ったよりも美人だから付いて行ってしまったという事なのだ。
自分達の客を取られた事に怒りを覚えても、援デリ業者は警察に相談するなんて100%出来ない…。
横取りする業者は、それを理解した上で客を奪っているのである。
何も出来ずにいるO氏と筆者は、新宿で援デリを運営する厳しさを知る事となった。
援デリで「使えるキャスト」とは
O氏と共に過ごし始めてから、早くも2ヶ月になろうとしていた。
筆者の貴重品などは事務所のロッカーに入れられており、家に帰ることが出来ず、ズルズルと居座り続けていたのである。
新宿で援デリを開業したO氏と筆者だが、収益は思った以上に少なかった。
それもO氏を苛立たせていた要因の1つであり、そんな状況で「帰る」という言葉を発せられなかったのだ。
売上が伸びない最大の原因は、「使えるキャストがいない」という事である。
援デリに慣れている(よく引っ掛かっている)客は、待ち合わせ場所から少し離れた所で待機し、こちらに「待ち合わせ場所に着いた」と嘘の連絡を入れる。
そして、待ち合わせ場所に来るキャストを品定めするのだ。
キョロキョロと周りを見るキャストが、自分のタイプかどうかを判断するのである。
しかし、「使えるキャスト」は待ち合わせ場所から離れた所にいる客を見つけられるのだ。
それが可能なキャストなら、客に逃げられる確率を大幅に減らすことが出来るのである。
そんな「使えるキャスト」として、援デリ業界では有名な女性がO氏と筆者の店に在籍することになったのだが、これによって事態は思わぬ方向へと転がっていくのだ。
22歳にして月収200万以上を稼ぐキャスト「T美」
O氏から、「都内で月200万以上を稼ぐ22歳のキャストがいる」という話を聞いた。
名前は「T美」。
家賃50万円のマンションに1人で住んでいるとのこと。
過去、O氏はT美と一緒に援デリを運営していたそうで、売上が低迷中だった事もあり、思い切って連絡を取ってみることにした。
そしてT美は、「1日で10人ぐらい客を付けてくれるならOK」との条件で出勤してくれることになったのだ。
客1人あたり30分と考えても、最低5時間は掛かる計算だ。
しかし、O氏がT美と約束した出勤時間は、たったの2時間であった。
筆者「2時間で10人の相手をするなんて、現実的に無理ですよ!」
O氏「普通なら無理なんだけど、アイツ、1人を相手するのは5分~10分だから余裕」
筆者「意味が分からないのですが…」
O氏「要はホテル入った瞬間に玄関で抜いて終わり」
筆者「客、すげー怒りませんか?」
O氏「うん、だから『爆弾』って呼ばれてる。T美が(援デリを)やったエリアは客が来なくなるんだよね」
筆者「それでもT美さんを使うんですか?」
O氏「数日だけ頑張って貰って、あとはポイッかな」
援デリ業者の中でも有名なT美だったが、彼女はどこにも属していない。
正確に言えば、「所属することが出来ない」のだ。
キャストとしての能力はズバ抜けているのだが、縄張りを荒らされたくない他のグループは、決してT美を在籍させないのであった。
金は意地でも払わせる
T美が実際に出勤し始めると、「使えるキャスト」と呼ばれる実力が明らかになっていく。
まず、冒頭でも述べたのだが、客を見つける能力が異常に高かった。
待ち合わせ場所に客が現れない場合は、キャストから「客が来ない」と打ち子に連絡が入り、それから打ち子が客に確認するというのが一般的な流れである。
しかし、T美から「客が来ない」と連絡が入る事は極めて稀だったのだ。
T美は客が待ち合わせ場所にいないと分かった瞬間、自らの足で探し出すのである。
よくあるパターンは、待ち合わせ場所の向かい側から客が見ているというもので、そちら側へ行って徹底的に探すのだ。
他にも、客らしき男性には次から次へと声を掛けていく事もあると言うから、筆者はかなりの衝撃を受けたのである。
客と落ち合ってから僅か10分後にはホテルから出て来るT美。
どんな事をしているのかと気になった筆者は、O氏に許可を貰い、電話で話を聞くことが出来たのだ。
筆者「T美さん、なんでそんなに早く出れるんですか?」
T美「やっぱり気になったんだ。まずホテルに入ったら相手の股間を触ってあげるの」
筆者「エレベーターとかでですか?」
T美「そう。それで部屋に入ったら、玄関で30秒ぐらい即尺(対面して即フェラ)して、そのままぶち込ませて終了」
筆者「マジですか…。シャワーも浴びないんですか?」
T美「気にしないから。キャハッ」
筆者「そのまますぐにホテルから出れるんですか?」
T美「『用事あるから』って言って出ちゃう。新宿のラブホは1人で普通に出れるとこ多いから楽よ」
「豪快」と表現して良いのか分からないが、衛生面も気にせず、とにかく早く済ませて次の客へ移ると言うのだ。
そうでなければ援デリをする意味は無い、とも言っていた。
そんなT美は、22歳にして数々の修羅場を潜り抜けてきた事もあり、客に対して強気な態度で応戦できるのも強みの1つだった。
筆者「客と揉める事って無いんですか?」
T美「沢山あるよ!私が一瞬で終わらすから、『金は払わない』とか言う男ばっかりだよ」
筆者「そんな時はどうするんですか?」
T美「意地でも払わせる。『このまま警察にレイプされましたとか言うから』って電話したりするし、ATMまで連れて行ってでも払わせてる」
客を探す能力に長けていて、一瞬でプレイを終わらせる…。
更には、自力で問題を解決してしまう“スーパーキャスト”であることが分かったのだった。
裏で“個人営業”を繰り返していたT美
T美が在籍したことで、店の売上は1日20万~30万まで伸びてきたのだ。
今までは中韓の援デリ業者に横取りされていた客も、T美の慣れた動きにより、客を奪われる数は激減していった。
売上が伸びるにつれ、最初は「数日」と言っていたO氏も、T美を引き留めようとして長期間出勤させるのだが…T美は裏で“個人営業”を行っていたのである。
そもそも援デリは、「援助交際を仲介する」という業態である。
つまり、営業力のある女性にとっては、個人で援助交際をしたほうが実入りは多くなる。
援デリのキャストとして働いていたら、売上の数割を店にピンハネされるからだ。
デメリットは、女性1人では客を探す手間が掛かり、トラブルが発生した時に対処できない事である。
そのため、通常なら個人で援助交際をする女性は少ない。
しかし、T美は“個人営業”を行い、稼いだ金を丸々懐に入れていたのである。
T美は1人で様々な場所へ行き、出会い系で待ち合わせをしているような客を見つけては、自ら声を掛けていた。
援デリ業者が多い事で有名な池袋、上野、五反田、渋谷を徘徊し、朝から晩まで客を探し回っていたT美だが、それが面倒臭くなると、新宿の(O氏と筆者の)店に出勤していたのである。
その事実を、O氏と筆者は何も知らないままだった。
ある日、T美が新宿で確保した客が、なんと他業者の客だったのだ。
そのグループの打ち子に客を横取りする瞬間を偶然見られてしまい、客とホテルから出たところで捕まってしまったのである。
問い詰められたT美は、働いている店として、O氏と筆者の存在を暴露してしまったのだ…。
他の業者からの電話に、一気に脱力するO氏。
「使えるキャスト」と思っていたのだが、この時に初めて、T美を在籍させてしまった事を後悔するのであった…。
T美が他グループの客を横取りしてしまい、知らないとは言えない状況に追い込まれたO氏と筆者。
そして、激怒している他業者の幹部とすぐに会う事になったのだ。
言い訳をすることは許されない中、自分達は無事に帰って来れるのか、下手をすれば埋められると不安になりつつも、他グループの事務所へ向かったのである。
事務所へ向かう途中、O氏はポツリと呟いた。
「もう援デリは無理かも。ってか帰って来れるんかな…。まぁ、困ったら俺が責任取るから安心して」
笑って話す姿に、年齢が一緒にも関わらず、度胸がある人だと改めて思うのであった。
ウチに喧嘩売ったって事分かる?
他グループの事務所に着くと、4人の男がO氏と筆者を待っていた。
相手は20代後半から30代前半に見え、身なりは普通のサラリーマンのような印象であった。
「T美を使って客を横取りしているのか?」と問いただされ、「知らなかった」と伝えるのだが、一向に信じてもらえない。
幹部「T美って悪い話しか聞かないし、昔からの知り合いなんでしょ?」
O氏「確かに知り合いだけど、横取りしろとは言っていない」
幹部「T美が、スカウトとか他のグループと揉めてるの知ってる?」
O氏「詳しくは知らないが、聞いた事はある」
幹部「売上やスカウトバックを持って、どこかに消えちゃうのよ。この前は地方に逃げたらしいし」
O氏「つまり、ウチらがT美をかくまってると思っているわけですか」
幹部「そうなっちゃうよね。どこのグループも在籍させないのに、おたくらのとこには在籍してるんでしょ。実際そう言ってるしね」
O氏「T美は今どこに?」
幹部「帰らせた。おたくらと話をしないと分からないでしょ。ってか、ウチに喧嘩売ったって事分かる?たった2人で馬鹿にしすぎでしょ。ケツ持ち呼べば?」
O氏「いや、それは…出来ない。謝罪で許して欲しいのですが」
幹部「無理かなー。上にも話いってるから」
何も言い返すことが出来ないO氏と筆者の目の前で、“ケツ持ち”に電話をする幹部。
電話を切ると、「とりあえず、ウチが経営してる店回って金使ってきて」とだけ言い、グループの男に外へ連れ出されたのである。
分かりました。ウチらは援デリ止めます
このグループは援デリ以外に、キャバクラや風俗店も経営している大きな組織だった。「T美によって発生した損害金を、店に使え」という事なのである。
O氏と筆者は、強引にキャバクラや風俗に連れて行かれては、その場で会計のみを済ませて出てくる。
しかも一度だけではなく何度も行い、何十万という金額があっと言う間に消えていった。
実際に支払っていたのはO氏なのだが、抵抗する事なく、何も言わずにお金を払い続けるのである。
50万ほど使った時に幹部から電話があり、「これから事務所に戻って来い」と言われ、そのまま連れて行かれるO氏と筆者。
幹部「店で結構金使ってくれたみたいだね。お疲れさん」
O氏「今回の件は、すみませんでした」
幹部「金使ってくれたから、まぁいいや」
O氏「このままって訳にはいきませんよね?」
幹部「そう。上と話をしたんだけど、もう東京から出て行ってくんない?」
O氏「そうなりますよね」
幹部「そういう事。これ以上池袋と新宿で問題起こしたら、もう無理でしょ。これでもまだ優しいと思うけど」
O氏「…それで、全て終わりにしてくれますよね?」
幹部「そうだね」
O氏「分かりました。ウチらは援デリ止めます。あと、(筆者を指差して)コイツは新人で何も知らないので、勘弁してやって欲しいです」
幹部「あっ、そうなんだ。じゃあ、君はここに居た事、忘れて」
筆者「はい…分かりました」
話が終わると、ようやく事務所から解放されたのである。
時間にすれば10時間程だったのだが、数日間も拘束された気分で、体中は疲れ果てていたのだった…。
新宿店の解散とその後
疲れ切っていたO氏と筆者は、事務所に帰って来ると、倒れ込むように寝てしまっていた。
翌朝、「決めることがある」と言われたので、今後についての話し合いを始めた。
O氏が「店は止める」と切り出すと、少し寂しい気持ちを感じる筆者。
O氏「まぁ、色々あったけど援デリ止めよう」
筆者「そうですよね。東京出るんですか?」
O氏「大阪か名古屋あたりに知り合いが居るから、そこに半年か1年は住むかな」
筆者「自分も、ようやく家に帰れますね」
O氏「確かに。援デリの事も分かったでしょ」
筆者「かなり深い所まで分かりましたよ」
数ヶ月を一緒に過ごしていたのだが、O氏との出会いから援デリを開業するまで、実に色々な体験をすることが出来た。
文字にすることも危険な為、当シリーズでは援デリの全てを伝えてはいない。
O氏と別れて帰宅した数日後、警察から筆者の携帯に電話があった。
警察「○○さんですか?A子さん知ってますよね?」
筆者「はい、知ってますけど」
警察「今朝、マンションで亡くなっているところが見つかりまして、履歴に入っていたので連絡をさせて頂きました」
突然の事にビックリしてしまい、言葉が出なかった筆者。
詳しく聞いてみると、A子は自宅マンションで亡くなってから3週間が経っていた。
闇金から金を借りたが返せなくなり、電気もガスも水道も…全て止められていたのである。
A子は離婚をしているバツイチ、大阪には子供と親がいた。
東京で援デリのキャストとして働き、ボロボロになった姿を見た時、親子は何を思ったのだろうか。
まとめ

男女の欲望が絡まり合う援デリ…その怖さを最後に痛感させられる事になるとは思っていなかった。
T美はその後、銀座のキャバクラで働いているという噂を聞いた。
そこでも稼いでいるが、金銭トラブルに巻き込まれたらしい。
そして…O氏からは「名古屋と大阪で援デリを始めた」と連絡があり、「こっちでは無料掲示板や無料チャットを使ってる」とも言っていたが、以降は音信不通に。
『漫画のような話ばかりで信じて貰えないかも…』と思いながら書いていたのだが、【実録援デリ体験記】は、全て筆者が体験した実話である。