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私は人妻デリヘル嬢~デリヘル嬢として働いた体験談~①

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東京アップデート編集部

東京アップデート編集部

夜遊びから大人の出会いまで、幅広い情報を取材してます。ネタ収集が毎日の日課。

私は、40代前半にデリヘル嬢として働き始めた。

あれは2年前の夏…。

飲み屋さんのバイトの時給が低く、かつシフトも不景気で週2回しか入れてもらえなかった私は、切羽詰まって携帯でデリヘルの仕事を探し始めた。

何故デリヘルなのか。

「口撃がうまい」といつも褒められていたからだ。

ただそれだけにすがり、私は行動した。

今回は、そんな私のデリヘル嬢としての日々を体験談として紹介していく。

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第1話.源氏名は「千秋」

さっそく何件か電話をかけてみる。

大抵は年齢制限に引っかかり、門前払い。

当時の私は40代前半。

「若い子しか採ってないんですよ」の答えが多かった。

(やっぱり誰だって若い子抱きたいよね…)

暗澹たる気持ちになりながら、求人をひとつひとつ潰していく。

何件目だろう。

「まずはお話を聞きに来られませんか」とありがたい言葉を頂いた。

年齢は問題ないという。

ただひとつ、気になっていることがあった。

私は以前、初めての飲み屋さん勤務のストレスから1年で20kgも激太りしてしまい、安心して脱げる体型ではなくなっていた。

太っていることを話しても、断られることはなかった。

数日後に面接の約束を取り付け、電話を切った。

実はデリヘルの面接は初めてではない。

遡ること数年前、まだ細かった頃にデリヘルの面接を受け、いわゆる実地研修も受けた。

お風呂場での洗い方、フェラの仕方、そしてゴムなしの本番の仕方。

当時は本番ありが暗黙の了解だったらしい。

体験入店で2回ほど接客したが、あまりの仕事の少なさに私は本入店を諦めた。

『またあの頃のように実地研修があるんだろうな』と覚悟を決め、面接の日を迎えた。

夏の強い陽射しをパラソルで遮りながら、私は広島駅の南口を歩いていた。

お店まで送迎ドライバーさんが送ってくれるという。

徒歩ナビでも迷うほど方向音痴な私は、ありがたくその申し出を受けることにした。

教えてもらったナンバーの黒い軽のワゴン車を探す。

決して広いわけではない停車スペースなのに、緊張してナンバーを探す目が滑る。

隅の方に停まっていた車をどうにか探し、助手席のドアを開けようとすると「後ろに乗ってください」と言われた。

後ろに乗るのは…なんだか落ち着かない。

そわそわしながら、お店までの道を覚えようとしたけれど、裏道を駆使するドライバーさんには通用しなかった。

ほどなくして、車はあるビルの駐車場に停められた。

「こちらですよ」と誘導するドライバーさんに付いて行く。

重い鉄のドアを開け、6畳より少し狭い部屋に通された。

「そこのソファーで座って待っていてください」

緊張が高まる。

電話が鳴る。

「はい、『人妻の花園』です」

(あぁ、もしかしたらここで働くのかもしれないのか…どうしよう。ほんとに私ここに来てよかったんだろうか)

暑さと緊張で汗が止まらない。

メイクが崩れてしまいそうだ。

来るはずのオーナーが遅れるそうで、またしばらく待たされる。

ふと棚を見ると、たくさんのミニバッグが置かれていた。

その横にはコスプレ用の服がかけられていて、どれも可愛らしいものばかり。

『こんなの入らないよー!』と心の中で叫んでいた。

テレビには水戸黄門の再放送が映っていたので、それをぼんやり見ながらオーナーを待つ。

時折入ってくる女の子たちが細くて可愛くて眩しい。

場違いな所に来てしまったことを強く後悔した。

「おはようございます」

水戸黄門が佳境に入ってきた頃、少し恰幅の良い男性が入ってきた。

私も思わず「おはようございます!」と返す。

「遅くなりました…オーナーの緒方です。面接を始めましょう」

(遂に来た…。あの実地研修があるのか…でもなんかオープンな雰囲気の事務所だし、あるのかな?)

不安になりながら、差し出された紙に住所や名前、できるプレイとできないプレイなどを書いていた。

「結構できること多いですね」

「アナルプレイは最近してないんですけど、一応経験はあります…」

これが良かったのか、採用になった。

覚悟していた実地研修は無かったが、ファイルを渡されて熟読するように言われた。

そのファイルには、手コキの仕方が詳細かつリアルなイラスト付きで説明されていた。

恥ずかしがりつつも、持ち出しはできないので懸命にやり方を頭に叩き込んだ。

源氏名を決めるように言われた時、少し悩んだ。

前もって見ていたお店のサイトでは、みんな芸能人の名前を付けているのが特徴的だった。

なんだかそうしないといけないような気がして、源氏名は私が好きなポケットビスケッツの千秋から取って「千秋」にした。

ポケビでの頑張りを見せた、あの千秋のようになりたかった。

早速オーナーの了解を取って、100均でカードとカラーペンを買い、手作り名刺を作ることにした。

リピーターを作るためには、名前と顔を覚えてもらわなくてはいけない。

店名と源氏名をカラフルに書いて、私は明日の出勤に備えた。

第2話.13番ブースが私のお城

翌日、朝から出勤させてもらうことにした私は、約10年ぶりに朝の仕事のためにメイクをし、広島行きの電車に飛び乗った。

勤務は余裕を見て10:30から。

(10:00にお店に着いたらもう一度メイクを見直したい)

そう思っていた。

実際にはそうはいかなかった。

昨日、帰り道はすんなり覚えたのに、どこを曲がればいいのか覚えてない。

唯一覚えてるのは、すぐ近くに夜の蝶のドレスショップがあったことくらい。

(お店からまっすぐ電車通りに出られたのに…)

電停からすぐ近くの角を曲がったことは覚えていた。

『確かここだったはず』と角を曲がってまっすぐ歩く。

でもドレスショップは見当たらない。

私はパニクった。

早くしないと遅刻してしまう。

1本違う道に行き、どうにか10:30ちょうどにお店に着いた。

昨日のあのドアを必死で探し、事務所に「おはようございます!遅くなりました」と駆け込む。

ちょうどオーナーがいて、「千秋さんちょっと」と私を呼ぶ。

「女の子はこのドアじゃなくて、こちらの自動ドアから入ってくださいね」

外に出ると、薄くて白いプラスチックのパネルが目隠しのように立っていた。

仕事柄の配慮なのだろう。

初めての仕事を待ち受けるべく、私は改めて事務所に向かった。

事務所に入り、まずは待機用のブースを決める。

図面を見て、入り口が見える隅っこの13番が気に入ったので、そこに決めた。

それ以来先客がいない限り、私は13番ブースに入ることになった。

あの棚にあったミニバッグを渡される。

中には小分けされたイソジンうがい薬とローションが入っていた。

バッグは年季が入っていて、縫い目が少しほつれていた。

「イソジンやローションを無くすと1,000円、バッグを無くすと2,000円賠償してもらいます」

商売道具だもの、ごもっとも。

他に小冊子も入っていた。

広島のデリヘル紹介誌で、お客さんに配るように言われた。

ブースに案内され、13番の札を立てた。

テレビと携帯充電器と電話がある1畳のスペースが私のお城だ。

ソファーがあり、「待機中はそこで寝ていてもいいですよ」とブランケットの場所も教えられた。

漫画女性雑誌もあり、ちょっとした漫画喫茶みたいだった。

ブランケットを1枚取ってブースに戻ると、私は携帯を取り出して「写メ日記」を開いた。

お店に在籍している女の子は、写メ日記で自分をアピールできると聞いて、採用が決まってからすぐに、緒方オーナーにIDとパスワードの発行をお願いしていたのだ。

今日IDとパスワードを発行してもらえたので、早速日記を更新する。

『皆さん初めまして。人妻の花園に入店しました千秋です。わからないことばかりですが、よろしくお願いします』

写メは自分の首から胸を撮って載せた、もちろん着衣で。

(綺麗に見えるかな…)

緊張しながら写メを載せた。

私は本当は40代。

お店の指示で「30代」になった。

そしてバツイチなのに、人妻になった。

『話を合わせるのがたいへんだな』と、テレクラのサクラをしていた頃を思い出した。

昨日買ってきて用意した手書きの名刺を取り出した。

メイクの見直しをして、名刺数枚を化粧ポーチに潜り込ませた。

お客さんにひとこと書けるように、カラーペンも用意した。

テレビを見る気にはなれなくて、携帯を見て過ごしていると突然ブースの電話が鳴った。

遂に来た。

怖くて取れない。

でも意を決して受話器を取る。

「はい」

「千秋さんお仕事ですぅ。外に出て待っててくださいね」

「ありがとうございます」

自分のお財布とお仕事用のお財布、カラーペンと化粧ポーチが入ったバッグと、お仕事用のバッグを持って自動ドアから外に出る。

しばらくすると、シルバーのワンボックスカーが静かに停まった。

「千秋です。よろしくお願いします」

「千秋さんデリランドフリー40分、ジュピター201ね」

「デリランド…フリー…ですか?」

実は、お店は人妻の花園だけではなかった。

オーナーが何店舗か経営しているらしく、デリランドもそのひとつだった。

お仕事をひとつでも多く取るため、人妻の花園以外のお店にも出向くことがあるのだという。

フリーは指名ではないということ。

(大丈夫かな)

不安になりながら、携帯に部屋番号をメモして車は出発した。

ドライバーさんは安田大サーカスのクロちゃんみたいな雰囲気の人で、とても話しやすかった。

初めての私の緊張をほぐそうと、いろいろ話しかけてくれた。

ホテルジュピターはお店から近く、あっという間に着いた。

クロちゃんに「頑張ってくださいね」と送られてジュピターに入ると、私は201号室のドアをノックした。

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第3話.初めてのお仕事

風俗嬢

ホテルジュピター201号室に着いた私は、しばらく固まって動けなくなった後、思い切ってドアをノックした。

「はい」

「お待たせしました~デリランドです」

「入って」

(良かった。無事受け入れてもらえた)

「よろしくお願いします。何分にされますか?」

車内で時間は聞いていたものの、必ず入室してから再確認するように言われていた。

後にお客さんの都合で変わることがあるからだ。

「40分で」

「40分ですね。ちょっと失礼します」

お客さんの目前で事務所に電話をして確認する。

「千秋ですお疲れ様です。40分です」

「40分…****円頂いてください」

「****円ですね。わかりました。よろしくお願いします」

前払い制なので先に料金を頂き、プレイに入る。

「よろしくお願いします…」

控えめにはにかみながらご挨拶。

お客さんの服を脱がせるのも手が震える。

どうにか脱がせ、「歯磨きとうがいお願いします」と言いながらイソジンを水で薄める。

すごく緊張してしまい、何もかもがぎこちない。

お客さんは慣れているのか、私のぎこちない誘導にも笑って応じてくれた。

歯磨きとうがいを済ませてシャワー。

タオルをドアからすぐ手の届く所に置くと、一緒に浴室に入った。

遂に初めてのプレイ。

昔体験入店の経験があったとはいえ、今回は本番厳禁。

とにかく失礼のないように、口と手でイカセなくてはいけない。

そんなことを考えながら、シャワーの水温を見る。

プレイ前なので、全身をくまなく洗う。

まず胸を両手の手のひらで優しく洗い、そのまま抱きついて背中を洗う。

これを以前、実地研修でやったら、何故か「淡々と洗え」と怒られた。

他の箇所も綺麗に手のひらで洗う。

備え付けのスポンジで洗う気にはなれなかった。

自分の手で、体温で洗いたかったから。

私自身を急いで洗った後、お客さんの全身を丁寧にシャワーで流す。

髪が濡れないように、流し残しのないように。

自分も流してから「流し残しはないですか?」と尋ね、「大丈夫」とのことなので、一緒に浴室を出てタオルで拭いて差し上げた。

私自身は高速で拭く。

『色気がないなぁ』と思いつつ、身体にタオルを巻いて部屋に向かった。

とうとうお客さんとベッドの上に。

さっきの「よろしくお願いします」をまた言って、まずそっと乳首を舐めてみた。

感じるか反応を見る。

幸い感じるらしく、左手で身体を羽が触れるようになぞっていく。

身体がビクンビクンと不規則に動いていた。

kissは恥ずかしくてできなかった。

(これはイケる)

私は確信した。

丁寧に乳首を攻め、時にはかすかに噛んで、左手の動きも休めない。

いつしか、男性器からは透明な液が溢れていた。

40分なので時間がない。

頃合いを見てフェラに移る。

手を使わないフェラだ。

そっと口で咥え、男性器の周りに舌を回転させるように這わせ、根元までぐっと咥える。

お相手の身体が硬直し、思わず吐息が漏れる。

咥えているモノはさらに大きくなり、私の手首を握る力は強くなっていた。

時に浅く、時に深く。

私の口の中で、反応がダイレクトに伝わる。

「美味しい…」

思わず声が漏れた。

あの透明な液体がじわじわと出てくるのがわかる。

次第に口の中のモノは、はちきれんばかりに張り詰めてきた。

もうすぐイク合図。

私は口や舌の動きを早めた。

「あぁっ…出るっ…!」

その言葉と同時に、私の口の中は温かいモノで満たされた。

私は達成感に包まれていた。

(やっぱり私のフェラテクは通用するんだ)

お客さんの男性器をやさしくティッシュで拭きながら感慨に浸っていると、携帯が鳴った。

見てみると、お店からの10分前コールの電話番号だった。

お客さんに「あと10分なんで急ぎましょう」と促し、再び浴室へ。

「身体はボディーソープ使わない方がいいですか?」

そのお客さんはスーツ姿だった。

仕事中にここを利用していることがバレると困る可能性があるため、尋ねた。

「えと、ナシで…」

「そうですね、じゃここだけソープで洗わせてくださいね」

男性器のみソープで洗い、他はシャワーだけで済ませた。

私も手早くシャワーだけで済ませ、浴室を出る。

慌ただしい。

身体を拭いて差し上げ、急いで着替える。

「これよろしかったら読んでみてください」

あの小冊子を渡すが、「いらないよ」と断られた。

仕方ない。

用意していた名刺は渡せなかった。

『人妻の花園』の源氏名がバッチリ書いてあるから。

これまた仕方ないけど、「よろしければまた呼んでくださいね」とお願いした。

仕事バッグにイソジンとローションが入っているのを確認し、お客さんは「もうしばらく部屋にいる」とのことなので、先にジュピターを後にした。

外に出ると、さっきのクロちゃんが待っていた。

車に乗り込みお客さんの料金を渡し、お店に戻った。

初めてのお仕事を無事終えた感慨にふけりながら、お昼を食べた。

食べ終えてメイクを直し、お店のサイトを見てみる。

私には気になることがあった。

お店のサイトには、みんなそれぞれの写真が顔にボカシ付きで載っていた。

私の写真もあった。

でもそれは面接の時に撮った直立全身写真とは違い、明らかに別人だった。

共通項は巨乳だけ。

(これってマズくない?でもお店側がそうしてるんだし、何か事情があるのかもしれない。私はまだ入ったばかりだし、あれこれ言えない)

しばらく様子を見ることにした。

そうこうしている間にも、時折他のブースから電話の音が聞こえてくる。

(いいなぁ…お仕事があるって。指名されてるのかな)

13番ブースからは、人の出入りが見える。

スリムな若い後ろ姿。

暗い気持ちになる。

(やっぱり若い子がいいよねぇ…)

なかなか鳴らない電話に、私は自分のスペックの低さを嘆いた。

結局あれから電話は鳴らず、17時を迎えた。

帰り支度を整え、ブランケットを元に戻して事務所に顔を出した。

「お疲れ様でした」

仕事用のバッグを戻し、今日のバイト代を精算して頂いた。

数千円だけど、紛れもなく私が稼いだお金。

嬉しさがじわじわとこみ上げる。

明日も今日と同じ時間帯で出勤すると伝え、事務所を後にした。

「お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」

白いプラスチックの目隠しボードのある出入り口からお店を出た。

入れ替わりに、夜の部の出勤と思しき女の子たちが黒いワゴン車から降りてきた。

(明日も頑張ろう)

あのドレスショップを見つめながら、私は帰途についた。

第4話.鳴らない電話

朝が来た。

またメイクをして9時の電車に乗り出勤する。

今日は約30分かかる乗車時間を利用して、電車内で写メ日記を更新することにした。

デコメが使えるとのことなので、デコメを駆使して可愛く仕上げた。

内容は今日の勤務時間のお知らせ。

(もし指名してくれる人がいてくれたら…)

そんな淡い期待も抱いてupした。

いつものように電車と路面電車を乗り継いでお店に着く。

お昼は前もってコンビニで買っておいた。

通勤路に大好きなセブンがあるから助かる。

事務所に出向き13番のブースを確保すると、写メ日記をチェックする。

まだコメントは入っていないけれど、『そのうち入ってくるはず』と焦らないことにした。

写メ日記は、お店の女の子全員が書いてるわけではなかった。

ほんの一部だけだ。

だから私はそれを取っ掛かりにしようと考えた。

いつかきっと実を結ぶと信じて。

今日もなかなかブースの電話は鳴らなかった。

私だけではない。

全体的に鳴らないのだ。

(やっぱり不景気だからなんかな…)

おとなしくネットをしながらコールを待った。

突然、ブースの電話で起こされた。

いつの間にかソファーでうとうとしてしまったらしい。

バッグを持って出ると、今日もクロちゃんがドライバーだった。

今回もまた系列店のフリー。

ドキドキしながらホテルに向かう。

(ここのホテルは確かオートロックだったはず…)

恥を忍んでフロントに「503号室に行きます」と声をかけ、鍵を開けてもらう。

ドアをノックし「お待たせしました」と言うと、お客さんは冷たく「チェンジ」と言い放ち、拒絶するようにドアを閉めようとした。

「あのすみません…チェンジ2,000円かかるんですが…」

お客さんは嫌そうにドア越しにお金を渡すと、さっさとドアを閉めた。

何もかもを否定されたような気分になった。

肩を落とし、事務所にチェンジになった旨を伝えて、クロちゃんが待つ車に乗った。

情けなくて悔しくて、言葉が出なかった。

(私がブスだから、太ってるから、年いってるから…。昔もテレクラですっぽかしいっぱい食らったなぁ…でもお仕事だから余計に悔しい。悲しい)

そんな私を、クロちゃんは「よくあることですよ」と慰めてくれた。

涙でマスカラが滲んだ。

ブースに戻り、パンダ目になったメイクを直し、遅いお昼を食べた。

待機所にはレンジがあるから助かる。

それにしても…クロちゃんは「誰にでもよくある」と言ってたけど、にわかには信じがたい。

だって、若くてスリムで可愛い子が沢山いるのに…。

この時私は、クロちゃんの発言の真意に気づいていなかった。

またブースの電話が鳴るのを待つが、聞こえるのは女の子のおしゃべりの声ばかり。

たまによそで電話が鳴っても、誰かが出て行く気配はない。

17時になった。

思わずため息が漏れた。

お仕事用のバッグを返却するために事務所に行く。

足取りが重い。

どんな顔して行けばいいのか…。

「お疲れ様です」

バッグを戻し、「明日も同じ時間に出勤します…」と消え入りそうな声で言うと、早々に事務所を後にした。

私は敗北者だ。

役に立たない。

お給料ゼロ。

絶望を感じながら、夜からの飲み屋さんの仕事に向かった。

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第5話.40代女の需要

昨夜飲み屋さんで働いて少々寝不足気味な私。

昨日と同じように、写メ日記を更新した後は少し電車内でうとうとした。

どうせ待機所でも同じことなんだろうけど。

お店の中にある待機所のブースに入り、仕事用のバッグを受け取り、ブランケットを1枚確保して携帯を取り出す。

今日から写メ日記の内容を少し変更した。

電車内の更新は「今出勤中です」と書き、10:00に着いてからは「10:30~17:00まで勤務です」と告知することにした。

時間差攻撃だ。

少しでも目に留めてもらいたいがための行動だった。

そしてもうひとつ。

他の女の子の写メ日記を見て、私もチラリズムの写メを載せることにした。

と言ってもかなり直接的なもので、ブラ1枚の姿を撮った。

夏だからできたことだと思う。

ささっと服を脱いで撮影し、確認して納得できるまで撮ってささっと着る。

ブースの入り口にはカーテンが無いから自己責任。

我ながらよくやったなぁと思う。

でもそれくらい、私は切羽詰まっていた。

今日もまたのんびり過ごしながら、電話を待つ。

のんびりと言っても、精神は張り詰めている。

いつ鳴るかわからないコール。

他のブースで鳴るたびに心臓が止まった。

幸いお昼前に電話があり、車に乗り込む。

今日もクロちゃんだ。

朝出勤するとクロちゃんが事務所にいることがあるので、日中専門なんだろう。

「千秋さんザ・デリソータイプ指名1時間、SAKURA406!」

「タイプ指名って何ですか?」

要するに、「個人的に指名はしないけど、こんな子がいい」という個人指名とはまた意味合いの違う指名だった。

クロちゃんがあの時、「誰だってチェンジ経験ありますよ」と言った真意がわかった。

「30代の人がいいんですって。呼んだら若い子が来たから、(店に)『30代にしてくれ』って言ってあるみたいですよ。ずっと30代指名してる人らしい」

とりあえず年齢はクリア…後は見た目で追い返されないかどうか。

不安を抱えながらSAKURAに着いた。

406号室の前に立つ。

緊張する瞬間…なかなかノックができない。

でもお客さんが待ってる。

覚悟を決めてノックした。

「お待たせしました、ザ・デリソーですぅ」

(笑顔で笑顔で)

「どうぞ」

(やった!)

時間を確認して事務所に連絡。

前金を頂いてうがいと歯磨きを済ませる。

「これはちゃんとしなきゃね」とすんなりうがいに応じてくださるお客さん。

慣れてるのかな?

慣れてなくてもありがたい。

浴室に入り、シャワーへ。

お客さんに抱きつきながら一通り洗うと、ソープが付いたままの男性器をそっと胸で挟んだ。

「パイズリできるんだ~凄いね」

胸が大きくて良かった。

攻めるテクは多い方がいい。

しばらくパイズリを続けて、ボディーソープを流す。

全体的に流れたところで、そっと男性器を口に含んだ。

「あっ…いいですね…」

不意打ちフェラ。

ねっとりまとわりつくように舐めあげる。

プレイはベッドの上だけで行うものじゃない。

如何にして楽しませるか、私はいろいろ考えていた。

ビクビクと口の中で反応する男性器。

今は夏だから、少々浴室で裸になっても寒くない。

しばらく男性器を吸い舐めると、改めてシャワーを流して身体を拭いて差し上げ、ベッドに向かう。

「いやぁ30代は落ちつくねぇ~」

(ごめんなさい、ほんとは40代です…)

そんなこと言えるはずもなく、「30代がいいんですか?」と何気なく聞いてみた。

「若い子は話が合わなくてね、落ち着きがないし。30代なら話も合うし落ち着きがあるから、いつも30代の人頼んでるよ」

「そうだったんですか…」

30代に需要があるのが嬉しかった。

(まだまだ必要としてくれる人がいるんだ)

俄然私は張り切った。

いやらしくまとわりつくようなフェラを繰り広げた。

経験のある女の強さを見せたかった。

先っぽだけを執拗に攻めたり、咥えたまま裏筋を舌先でなぞったり、タマを口に含んだり、できる限りのテクを尽くした。

今回もお客さんは手を使わずに感じてくれた。

口だけで果ててくれることは、この上なく嬉しかった。

プレイ後は時間まで世間話をした。

世間話というよりは、迷惑メールの話。受信拒否をしてもひっきりなしに送られてくるのだという。

確かに話している間にも、1分置きに携帯のディスプレイが光っていた。

「男の人って大変ですね…」

思わずつぶやいた。

本心からだった。

当時の私は迷惑メールとは無縁だったから、その煩わしさや大変さを推し量りながら、そうとしか言えなかった。

時間が来た。

シャワーを済ませ、「迷惑メール止まるといいですね」とお別れした。

もちろん「また呼んでくださいね」とお願いして。

(いい人に当たったな)

それが嬉しかった。

待機所に戻り、「今からお昼食べます」とスタッフのお兄さんに断って、セブンで買った焼きラーメンをレンチンする。

事務所近くにあるレンジの前で待機していると、いかにも厳ついB系なお兄さんに遭遇した。

初めて見る人だ。

おずおずと「お疲れ様です」と挨拶をした。

しばらくして、温まった焼きラーメンを持ちブースに戻る。

お茶もセブンで購入した。

(節約しなきゃ)

水筒とお弁当箱の購入を考えた。

お昼を食べて写メ日記をチェックする。

『コメントが1件入っています』とメールが来ていた。

開けてみると「ギニュー戦隊」と名乗る人からだった。

『白い下着姿に惹かれた、また見せてください』とのことだった。

つかみはOK。

とりあえずは興味を持ってもらいたい。

お返事コーナーに「メッセージありがとうございます。また下着写メ載せるので、楽しみにしてくださいね」とupし、次はどんな人からメールが来るのかを心待ちにした。

お仕事コールを待ったが残念ながら鳴らず、今日も1本だけの接客になった。

『何もないよりはいい』と自分を納得させた。

第6話.本番強要とその裏側

5日間の生理休暇を経て、久しぶりに出勤した。

麦茶が入った500mlの水筒と、もう1本の500mlペットボトル、それと保温機能の付いたお弁当箱を買ってお弁当を作ってきた。

中身はごくごく質素。

それを恥ずかしげもなく写メ日記にupしたことを後悔した。

今日は住民票も持参してきていた。

デリヘルで働くには、年齢を確認できる身分証が必要だという。

そういえば、警察への誓約書みたいなものも書かされた。

徹底してるなぁ。

以前とは大違いだ。

女の子たちが安心して働くために必要なのかもしれない。

今日もまた「ギニュー戦隊」からメールが来ていた。

『白い下着見せてください』と言われても、今日は黒なんだけど…。

白ばかりではないと断って、黒いブラの写メを載せた。

今日のお仕事コールは意外にも早く来た。

気を張って、車に乗った。

今日もまたクロちゃんの運転でお客さんの元へ。

いつまで経ってもこの瞬間は慣れない。

それでも勇気を振り絞ってドアのチャイムを鳴らす。

「入って」

(よかった。今日も大丈夫だった。断られなかった)

歯磨きとうがい、シャワーを経てベッドの上へ。

乳首舐めやフェラの後は、お客さんのペースだった。

足を開かされ、クンニをされる。

執拗に舐められる。

「はぁっ…気持ちいい…」

身体が溶けそうで思わず身をよじる。

(どうしようたまらない…)

私は快感に溺れた。

いつも感じさせる側だから嬉しかった。

でも、それは罠だった。

ふいにお客さんの身体が一気に私の上にのしかかってきた。

大きく起立した男性器は、あそこを狙っていた。

(ヤバい!本番される!)

私はすぐに枕元に置いていた携帯を取った。

それをむしり取ろうとするお客さん。

携帯を壊されるんじゃないかと思うくらい、強い力だった。

「お店に電話しますよ!」

どうにか諦めてくれたものの、もう接客を続けたくなかった。

それでも仕方なくイカせ、暗い気持ちでお店に戻った。

何故かスタッフには言えなかった。

クロちゃんにも言えなかった。

足を開いた自分に非があるような気がして、強い罪悪感に苛まれた。

その日はもうひとり付いたけれど、あの本番の恐怖で何もかもがぎこちなかった。

(なんで平気で本番できると思うんだろう…)

その答えが見つかるまでに、そう時間はかからなかった。

仕事にも慣れてきて、車に女の子ふたりで乗ることもあり、移動中にドライバーさんを交えて会話するようになった。

名前は知らないけど、20代半ばらしき女の子。

ギャル系でスワロフスキーの付いたネイルをしていた。

その手で手コキは軽くヤバいですよおねーさん…。

そのギャルちゃんとの会話。

「この前何してもイカない客がいてぇ。手コキでも口でもダメでさ、どうしたらいいか悩んじゃって」

ギャルちゃんは続ける。

「ふと思いついて、足コキしたらすぐイッちゃって!Mだったみたい。マジウケる~」

新境地発見…。

足コキはこの年でも経験がない。

今度何やってもダメならやってみようかしら。

ギャルちゃんは接客が終わった後、すぐ次の仕事が入って他のホテルに移動中だった。

メイク直しをしながらも口は止まらない。

「さっきのお客さん、童貞なんだってぇ!『アナルやってみたい』って言うから、オプションでヤらせてあげたんだ」

「えーっアナルで童貞卒業!?」

「マジで?童貞捨てにデリヘル呼んだんか。普通そこはソープじゃろ」

B系ドライバーさんもノリがいい。

会話ペースはギャルちゃんの独壇場だ。

「あたしお金貰えたら本番するよ。さっきの人はアナルがいいって言ってたけど」

耳を疑った。

本番禁止なのに何故?

「貰えるんならやるよあたし。自分のお金になるんだし。お金貰えるんだったら何だってするよ」

(嘘でしょ…内緒でやってるの?信じられない)

もちろん彼女をチクったりはしないけど、思い切り頭を殴られたような衝撃を受けた。

(だから私も襲われたのかな…)

愕然とした。

お客さんの元に向かっても、絶対足は開かないと決めた。

彼女に対して、印象がガラリと変わってしまった。

まとめ

まとめ(シュウジ)

今回は、私がお店に面接に行った日のことから紹介しました。

お店に入りたての頃は色々なことが手探りで、自分なりに考えながら頑張る日々でした。

40代デリヘル嬢がどんなことを感じて働いているか、伝われば嬉しいです。

次回は初めて指名をもらえた日のことなどを書ければと思っています。

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