40代でデリヘル嬢を始めた私の日々をまとめた体験談。
今回は、集客への努力と閉店することになった経緯を紹介していきます。
私が実際にどんなことを意識して集客していたかも書いているので、ぜひ参考にしてみてください。
第13話.思い出のワンルームマンション

ある日、いつものように出勤して事務所に顔を出すと、珍しく朝にいるオーナーに呼び止められた。
何だろうと思っていると、「要るでしょう?」とあるモノを渡された。
見てみると、それは人妻の花園専用の名刺だった。
今回新しく作ったようだ。
名前の箇所は空欄で、自分で書き込めるようになっている。
嬉しかった。
まさか花園の名刺ができるとは。
今まで手書きの名刺で頑張ってきた姿を見ていてくれたのだろうか。
感激した。
早速いつも持ち歩いているカラーペンを駆使して、新しく私の名刺を作り上げた。
私が花園にいることの存在証明を貰ったような気がした。
すぐに手書き名刺と入れ替え、化粧ポーチに入れるのは申し訳なく思い、名刺ケースを買ってそこに入れた。
(もっともっと花園の嬢として頑張ろう)
そう心に決めた。
今シャルルって言いました?
少し涼しくなってきた晩夏。
自宅派遣のお仕事が入った。
自宅派遣は思ったより多く、この日もお仕事バッグに歯磨きセットとバスタオルを詰め込みお客さんの元へ向かう。
見慣れた光景。
ただひとつを除いては。
今日もクロちゃんがドライバー。
「千秋ですぅよろしくお願いします」
「千秋さんザ・デリソーフリー1時間、シャルル102!」
クロちゃんの言葉を聞いた私は固まってしまった。
「えと…今シャルルって言いました?シャルルって何町ですか?」
「土橋ですよ」
言葉を失った。
間違いない。
元ダンナが結婚前に住んでいた、半同棲していたマンションの名前だ。
部屋番号こそ違うものの、同じマンションだ。
そこに元ダンナがいるわけではないのに、私は何かいけないことをしているような感覚に陥ってしまった。
「やだどうしよう…多分元ダンナが住んでたマンションですよ」
「マジですか!」
「マジです。どうしよう…」
もちろん拒否する理由もないので、車はそのまま走る。
お店からそんなに時間はかからず、ほどなくして土橋のシャルルの前に着いた。
「間違いないです…」
何年ぶりだろう、この景色。
まさかこんな形で再び訪れるとは。
幸せになるために離れたワンルームマンション。
知らない誰かに快楽を与えるために、また来ようとは。
ここで戸惑っても仕方ない。
仕事は仕事だ。
「いってらっしゃい!」
クロちゃんの声に送り出され、私はシャルルの玄関に足を踏み入れた。
シャルルの玄関を通る。
やっぱりそうだ。
何もかもが懐かしい。
覚悟を決めて102号室のチャイムを押す。
「お待たせしましたザ・デリソーですぅ」
「どうぞ」
チェンジをされることもなく、プレイに移ることになった。
懐かしいバスルームで歯磨きうがいをする。
そしてシャワーへ。
狭いお風呂の中でお客さんを洗う。
夜になると騒がしくなる環境を思い出した。
バスルームから出て改めて部屋を見る。
少し内装を変えた気もするが、あの時と同じ間取りだ。
若かったあの頃に戻ったような気がした。
知らない人と懐かしい部屋でプレイをするのはかなりドキドキした。
こっそり浮気をしているような感覚。
なんとなく落ち着かない。
プレイが終わると、お客さんにその気持ちを素直に伝えた。
「実はこのマンション、ダンナが結婚前に住んでたマンションなんです。何もかもが懐かしくて、なんだかドキドキしちゃって」
「そうなんですか!凄い偶然ですね」
そこから話は弾み、さっきバスルームで懐かしく思った隣の建物の夜の喧騒について尋ねた。
「ここって夜は騒がしくなりますよね、修学旅行生とかで」
「えっ?そうなんですか?全然そんなことないですよ」と驚くお客さん。
聞いてみると、隣は普通の建物だという。
以前は旅館だったのだが、閉館したのだろう。
歳月の流れを感じた。
和やかに時間は過ぎ、お店に帰る時間になった。
感謝の言葉を伝え、縁の不思議を感じながら、シャルルを後にした。
第14話.SNS集客作戦
人妻の花園のパネル指名を頂いた。
今回はホテル派遣ではなく待ち合わせ。
大きな病院の近くでの待ち合わせになった。
その場所がまたわかりにくい。
しばらく病院の周りをぐるぐる走り、伝えられたナンバーの車を探すが見つからない。
B系ドライバーさんも焦り、事務所に確認の電話を入れる。
スタッフがお客さんに連絡を取り、場所を確認してそこから移動しないように伝えたらしい。
ようやく目的の車が見つかった。
「あの車です」
「わかりました。行ってきます」
B系ドライバーさんはその場を離れた。
私は車に近づき乗り込む。
「お待たせしました。人妻の花園の千秋です」
お客さんは押し黙ってしまった。
やっと出てきた言葉は「キャンセル」だった。
狭い空間でのキャンセルは、ホテルで言い渡される以上に堪える。
「わかりました。キャンセル料3,000円です…」
お金を受け取り「失礼します」と車を降りる。
この瞬間はいつまで経っても慣れない。
『ダメ女』の烙印を押された気持ちになる。
事務所にキャンセルの旨を伝え、B系ドライバーさんに迎えに来てもらった。
(今日が雨じゃなくてよかった)
そんなことを思いながら。
せっかくパネル指名を頂いても、こんな風にキャンセルを言い渡されることがある。
実はサイトに掲載されている私の写真は、お店が用意した別人のものだ。
見た感じは巨乳で、綺麗系の雰囲気を醸し出している。
巨乳は当たっているが、まったくもって綺麗系ではない。
(みんなこの写真を見て指名してるのか…。せっかく毎日頑張って書いてる写メ日記は読んでもらえてないのかな…)
そう思った私は、スタッフに直談判をしに行った。
「私の写真を撮ってください。パネル指名で派遣されて、キャンセルされるのは辛くてたまらないです」
過去に自分の写真を載せてもらっている女の子もいた。
私も載せてもらえると思ったが、予想は大きく覆された。
「撮ってもいいですけど…千秋さんの写真で載せたら指名減りますよ」
非情な言葉が降り注いだ。
見た目優先の世界だということを、改めて思い知らされた。
テクを見てくれる、人間性を見てくれるお客さんはいないのだろうか。
返す言葉がなかった。
すごすごと待機所のブースに戻るしかなかった。
(私はどうすればいいんだろう)
何かできることがないかを必死に考えた。
絶望の波に飲み込まれながら。
“私”のお客さんを集めよう
写メ日記という狭い世界だけではやっていけない。
考え抜いて出した答えは、「ソーシャルネットワークの利用」だった。
Twitterと某SNSに登録し、人妻の花園の千秋としてお客さんを集めようと考えた。
そのためにはお店の許可が要るかもしれない。
何を言われるかと不安になりながら相談した。
「新しくお客さんを掴みたいので、TwitterとSNSに『千秋』の名前で登録して活動したいのですが、問題ないでしょうか?」
どうやら問題はないらしく、無事に許可が出た。
となれば早速行動へ移す。
アカウントを取り、すぐにプロフィールを作成する。
Twitter、SNSともに、お店の名前とサイトのアドレスを載せた。
ここで自分をアピールし、仲良くなってお客さんに繋げようという作戦だ。
Twitterは写メ日記同様、出勤状況をツイートした。
SNSに登録すると、現役デリヘル嬢という物珍しさからか、すぐにアクセスされメールが届いた。
掴みはOK。
ここから何かが動くと信じてやり取りを始めた。
第15話.リピーターが付かない私

私は苦悶していた。
下痢でお腹が痛い…しかも今はお客さんの元へ向かっている途中。
コンビニを横目で見ては、トイレに行きたいと言い出せない状況を呪った。
実は今まで騙し騙しやり過ごしていた。
働き出した頃は大丈夫だったけれど、いつしか薬を飲んでいても治まらなくなった。
小さい頃からの持病、「過敏性腸症候群」が出始めたのだ。
いつものクロちゃんなら言い出せたかもしれない。
でも今日は、初めて顔を合わせるドライバーさん。
理系っぽい雰囲気が、より近づきにくさを醸し出していた。
『早くホテルに着いて欲しい』と思っていたが、限界だった。
理系ドライバーさんに「すみません、お腹の具合が悪くてトイレに行きたいのでコンビニに寄って頂けますか」と頼み、どうにか窮地を脱することが出来た。
ドライバーさんにSOSを出したのはこれが初めてだった。
が、移動中の腹痛はそれで終わったわけではなかった。
それから数日後、接客を終えた私はホテルを出て車を探すが、いつも待っている車がいない。
私は焦り始めた。
そうなるとお腹がぐるぐる痛み出し、落ち着かなくなった。
車が来る前にどうにかしようと付近を歩いてみるが、公衆トイレもコンビニもない。
それがいっそう痛みを強くさせた。
どうにか気を紛らわせようとウロウロしていると、やっとクロちゃんが来てくれた。
クロちゃんなら言える。
「コンビニに寄ってください」とお願いし、無事苦境から抜け出せた。
だが恐ろしいことに、あの理系ドライバーさんからコンビニに寄った話を聞いていて、私はその件で有名になっているらしかった。
『やりにくいな』と思った瞬間だった。
TwitterとSNSに登録した結果、SNSでは伝言をやり取りする人も増えた。
「いつか指名します」と言ってくれる人も現れた。
上手くいくことを願い、交流を続けた。
ヤバい。コンタクト落とした
また指名を頂いた。
今回は駅で待ち合わせ。
在来線で40分くらいかかる場所だ。
自分のバッグとお仕事バッグを持ち、呉駅を目指す。
お腹の痛みに耐え、車内のトイレに何度も駆け込みながら闘った。
呉駅に着いて教えられたナンバーの車を見つけるが、肝心のお客さんがいない。
近くをウロウロしていると、お客さんが現れた。
「駅にいるのかと思ってた」
話が上手く伝わっていなかったのかもしれない。
とりあえず合流できたことに安堵し、ホテルに向かった。
見た感じは20代のお客さん、私で良かったんだろうか。
でも指名されたんだもの、前向きに行こう。
痛かったお腹も、薬を2回飲むことでどうにか鎮まってくれた。
ホテルに着いて、お風呂に入りたいとのことでバスタブにお湯を溜める。
歯磨きうがいをし、一緒にお風呂に入る。
綺麗に洗ってタオルで拭いて差し上げたその時。
「ヤバい。コンタクト落とした」
お客さんが焦った声で言った。
目の中でずれているわけではないらしい。
「もしかしたらお湯の中で顔を洗ったからその時かも」と仰るのでお風呂を見に行ったが、レンズは見つからなかった。
替えのレンズも持参していないとのことだった。
このままでは帰りの運転に支障が出るため、プレイは中止になり、私は「タクシー代を出すから」と帰されることになった。
お客さんは一旦タクシーで帰宅し、コンタクトを入れ直して車を取りに来るという。
仕方なくプレイなしでの接客となった。
タクシーを見つけて呉駅まで戻る間、何とも言えない気持ちになった。
(あのお客さん、無事車を運転して帰宅できたかな)
それが気になった。
本番させてくれたら、来週指名するから
指名は頂けてもリピーターに繋がらないことに、スタッフも不思議がっていた。
テコ入れを図ろうと、私だけ指名料無料キャンペーンを組もうかと打診があった。
指名料が入らないのは痛いが、リピーターが付くのなら話に乗ろうと同意した。
そんな中、所属している『人妻の花園』のフリーで呼ばれた。
プレイ前に世間話をすると、キャバクラを経営していて、近々新しく店舗を展開するのだという。
夜にカラオケスタンド(広島ではスナックのことをスタンドと呼ぶ)で働いている私は、キャバクラという舞台がとても羨ましかった。
私にないもの、若さ、美貌、それが詰まってる場所。
話を聞くだけでクラクラした。
若くても私はそこにはいられなかったのだと。
「この後も店舗に寄って大理石のカウンター注文したりするんだよ」
やっぱりキャバクラだ。
綺麗さ、規模が違う。
ちょうどそこへお客さんの携帯が鳴った。
電話に出ると、先程の大理石のカウンターの話をしていた。
(本当なのかも…)
私はあの煌びやかな求人広告を思い出していた。
電話が済むとプレイが始まった。
(なんか凄い人だなあ…)
そんなことを思いながらフェラをする。
ふと、お客さんが口を開いた。
「本番やらせてくれん?させてくれたら、来週指名するから」
私はいつものように拒否した。
本番をさせてしまったら、デリヘルではなくなる。
でもお客さんは口説いてくる。
必ず来週指名するからと。
指名…フリーからの指名はかつてなかった。
(これが指名に繋がってくれたら強いな)
そう思ってしまったのも事実。
「来週指名するから」という言葉に負けて、私は初めて身体を開いた。
意識は他にあった。
指名を掴むことしか考えていなかった。
次の週。
出勤する度に「予約入ってますか?」と聞いてみたり、ブースの電話が鳴る度に『今度こそ』と思った。
でも指名はなかった。
本番を勝ち取るための甘言だと気づいても遅かった。
『実際に指名してくれるお客さんだけを信じよう』と心に誓った。
第16話.残酷なお知らせ
SNSでの交流が順調に上手くいっていたのに、突然アカウントを停止されてしまった。
運営からメールが来ていた。
プロフィールの内容がSNSに相応しくないため、アカウントの停止に至ったという。
仕方なく内容を書き直す。
お店のサイトのアドレスも表示できず、表立った顧客誘致もできなくなった。
デリヘル嬢であることは書けるようなので、『私に興味ある方はメールください』という形にした。
精一杯の妥協だった。
無くなったエアシューター
パネルを見たのか写メ日記を見たのか、また指名を頂いた。
駅での待ち合わせ派遣。
待ち合わせ場所は宮島の近く、大野浦駅。
思い出の詰まった場所だった。
昔付き合っていた不倫の彼と逢っていたのが、大野浦駅近くのラブホだった。
彼が半休を取った日は朝から逢って愛し合い、お昼過ぎに出勤していた。
愛の詰まった場所に、もう行くことはないと思っていたのに。
複雑な思いで、夕方のラッシュアワー直前の電車に乗った。
宮島への修学旅行生でいっぱい、お腹は痛くなるし人酔いするしで散々だった。
薄暗い中、大野浦駅に着く。
ホームを歩く。
全然変わってない。
この階段、彼が私のミニスカの中が見えないようにとバッグで隠してくれた場所だ。
なんでこんなに切ないんだろう。
駅を出てお客さんと合流する。
駅の近くには2軒ラブホがあったはず。
どこに行くのだろうと緊張しながら車に乗り込んだ。
17時を過ぎていたので、ラッシュアワーの渋滞ができていた。
またお腹が痛む。
下痢止めと安定剤をこっそり飲んだ。
まだ仕事は始まったばかりなのに、私は異様な緊張感に戸惑った。
ゆっくりゆっくり車が動く。
ヘッドライトが並ぶ道から横に入る。
そこは思い出の場所だった。
すーっと滑るように、ラブホの駐車場に入っていく。
車を降りてエントランスを通る。
(変わってない。彼と一緒に来たかったな)
そう心に秘めて部屋に入る。
歯磨きうがい、シャワーを済ませてプレイに没頭する。
感じさせることに集中する。
体をまさぐり、性感帯を探す。
今の私はデリヘル嬢。
快感をたくさん引き出したい。
お客さんの感じる顔が見たいから、私は頑張る。
お客さんがイッて、一緒にシャワーを浴びている時に気づいた。
昔あった料金を払うエアシューターが無くなっていて、自動支払機になっていた。
「あっ…エアシューターなくなってる…昔ここはエアシューターで払ってたんですよ」
思わず言葉が口をついて出た。
「彼とよく来てたんです」とは言わなかった。
駅まで送って頂いて、一番ホームで電車を待った。
二番ホームで出勤する、電車を待つ彼を思い出しながら、斉藤由貴の「卒業」を聴きたくなった。
一体どうしたものか
すっかり秋も深まったある日。
私はブースに貼られた一枚の紙を見て愕然とした。
どうしよう。
やっぱり見た目重視なのか。
今までやってきたことは見てもらえないのか。
私はメイクをいくら濃くしても、薄い顔立ちが変わらない。
アイシャドウをいくら塗っても、一重まぶたではそれが全て隠れてしまう。
つけまつげを盛っても大して変わらない。
プチ整形しかないのだろうか。
髪型も中途半端なセミロングで、色っぽさが出せるロングには程遠かった。
いっそウィッグでも買って被ろうか。
でもシャワーの時に髪を上げたら、ウィッグだとバレてしまうかもしれない。
一体どうしたものか。
体型も一気には痩せられない。
プチ整形だってお金がかかる。
下着もこのお仕事の稼ぎでやっと買えた。
とにかくお金がない。
プチ整形なんて夢のまた夢だ。
何をどうしていいのか。
私は途方に暮れた。
第17話.募る不安、疑惑の夜勤

「ひろしまドリミネーション」が始まった。
平和大通りをイルミネーションで彩るイベントで、毎年たくさんの人が集まる。
ということは、渋滞が酷くなる。
ただでさえ車の多い平和大通りが、もっと渋滞するかと思うと、血の気が引く思いがした。
今までは指名の受付を17時までにしていたが、16時半に引き上げた。
間違いなく渋滞に巻き込まれて、お腹が痛くなるのが目に見えていたからだ。
お店にも受付終了時間の引き上げを伝え、写メ日記やTwitterでも告知する。
気が咎めたが、自分を守るためと割り切った。
割り切ったつもりだったが、勤務時間を縮小することで、仕事量が減ることへの懸念が強くなっていった。
どうにかしてイカせなければ
写メ日記から始まり、SNSでもやり取りをしているお客さんから指名を頂いた。
なかなかお客さんの都合がつかなくて、やっと仕事が落ち着いて会えることになった。
ホテル派遣ではなく、駅で待ち合わせ。
JR西条駅での待ち合わせとなった。
のんびりひとり旅の時間。
車窓に流れる景色は、若い頃に見ていたものと少し違っていたような気がした。
西条に行ったことを思い出しながら、それでも思い出すことをほろ苦く感じてもいた。
無事駅で合流。
感傷を胸に抱えながら、ホテルに向かった。
お店にホテルの名前と部屋番号を伝え、プレイに入る。
今回も、いつもと同じようにつつがなく終わると思っていた。
が、私は次第に焦りの色を隠せなくなっていた。
効かない。
フェラでイッてくれない。
こんなことは初めてだった。
みんなフェラでイッてくれていた。
どうやってもイッてもらえない。
仕方なく手コキに移るが、これでもダメ。
私はかなり焦った。
中折れするわけでもない。
それなのにイカない。
どうしていいのかわからなくなった。
次第に私は無言になり、ローションの擦れる音だけが響いた。
(どうにかしてイカせなければ)
それしか考えられなかった。
しかし、時間になってもお客さんはイケなかった。
敗北を感じた。
何もできないなんて。
がっくり肩を落としてお店に戻った。
(私ダメなのかな)
そればかり考えていた。
夜に出ればいいのに
あの「お知らせ」は、じわじわと私を苦しめていた。
見た目が重要なのだ。
頑張りを見てもらえても、「見た目がよくない」と言われてしまえばそれまで。
待機所でもその話が聞こえることがあった。
とりあえずは目元をはっきりさせようと、ジェルタイプのアイライナーを買った。
これなら涙目の私でも滲まないと聞いたから。
でも実際に使ってみると滲む。
やっぱり一重でラインが見えない。
デカ目効果を狙おうにも狙えない。
ブラウンのシャドウは顔がキツく見えてしまう。
(どうしたらいいんだ…)
毎日そればかり考えた。
メイク本も買ってみた。
でもどれも二重前提で、一重には使えなかった。
どうしてこんな顔なんだろう。
風俗に飛び込んだ自分の無謀さを呪った。
自分がどの位置にいるのかを確かめる女の子も出始めた。
私も気になりつつも、聞くのは怖かった。
下位についているのが目に見えてるから。
(いくら指名されてもリピートがない、見た目で判断されるなら私のランクは低い)
そう思っていた。
そんな中でも、他店のフリーで食いつなぐ日々が続いた。
ただ不景気のせいなのか、待機所全体にコールが鳴ることは少なく、お客さんが付かない日もまた出てきた。
(私何やってるんだろう。写メ日記も頑張ってるのに。やっぱり夜に入らないとダメなんだろうか)
子供がいることと、通勤手段が公共交通しかないことを理由にお昼だけにしていたが、夜も入ることを考え始めた。
お昼はお客さんが少ない、活発化するのは夜。
そう聞いて、思い切って朝晩両方入ってみることにした。
帰りはタクシーを使うと1日の収入が飛んでしまうので、最終バスに間に合うよう23時までの受付にしてもらった。
子供たちには申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、こうでもしないとお客さんや指名は取れない。
そう思っていた。
写メ日記やtwitterにも朝晩出勤することを書いてアピールした。
『今まで日中だけだったから、夜しか呼べない方は今日は大丈夫です』
よく「夜に出ればいいのに」とスタッフに言われていたから、期待していた。
いつもなら帰る時間の17時を過ぎる。
ここからが勝負だと思った。
18時過ぎに晩ご飯を食べ、コールに備える。
しかし、全く電話が鳴らない。
他のブースは鳴っているのに。
それに思ったほどコールもない。
本当に夜って稼げるのだろうか。
スタッフに聞くと、夜中が本番らしい。
夜中に出勤できる「人妻」ってどうなんだろう。
夜専門の女の子、それって本当の人妻は働けるんだろうか。
ご主人公認の場合は別として、わかる人にはわかるんじゃないだろうか。
結局、夜のコールはなかった。
私は夜中出勤はできない。
『やっぱり昼専門で頑張ろう』と思いながら、23時でお店を後にした。
最終話.MAILER-DAEMON
気がつけば、精神的負担が大きくなってきたように思えた。
ランク付けの件は、特に大きな影響を与えた。
常にそのことが頭の隅にあった。
悩むのが嫌で、思い切ってどの位置にいるのか聞いてみた。
「千秋さんは…Cですね」
AからDまでの4段階評価でC、やっぱり低い。
肩を落とす私に、「AやBは滅多にいませんから」とスタッフが言ったが、私にとっては気休めに過ぎなかった。
『最低でなかっただけ良かった』と思うしかないのか。
気持ちの持っていきようがなかった。
薬を、時には頓服の下痢止めを飲みながら乗り切ってきた過敏性腸症候群の症状は日々悪化していた。
その日も待機所のトイレから出られなかった。
やっと出られたと思っても逆戻り。
痛みと同時に涙が出た。
何故こんなに苦しまなくてはならないのか。
情けなくなった。
(待機所にトイレがふたつあってよかった)
心底そう思った。
トイレから出たと思えばまた戻るの繰り返し。
それが余計にプレッシャーになった。
何故こんなに痛いんだろう。
何故こんなにお腹が弱いんだろう。
そんな時にタイミング悪く、スタッフの声がした。
「千秋さんお仕事ですよ」
私は焦った。
この状態では安心して出られない。
「今はお腹の具合が悪くて…他の方にお願いできませんか?」
そう言うと、指名だと付け加えられた。
何故このタイミングで指名なのか。
自分の体調の悪さが悔しい。
しばらく返答を待ってもらったが、薬を飲んでも治らない。
ホテル派遣ではなく自宅派遣というのも不安材料だった。
大抵、自宅派遣は市内中心部から外れている。
着くまで安心して車に乗っていられる保証はなかった。
泣く泣く指名をお断りした。
その日は受付予定を切り上げ、早上がりすることにした。
こんな理由でせっかくの指名を諦めないといけないことが、残念でならなかった。
翌日は仕事を休んだ。
生理と学校の用事以外で休んだのは、これが初めてだった。
スタッフに休みますとメールを送るのは、たいへん勇気が要った。
生理でも海綿を使って出勤している女の子もいるのに、これだけの理由で休むなんて。
考えただけで胃が痛くなりそうだった。
指名を断らなければならないほどの酷い下痢のことを考えると、ちゃんと治まってからでないとお店に申し訳ない。
そう判断した。
苦渋の決断だった。
写メ日記やtwitterにもお休みの告知をした。
せっかくここまで頑張ってきたのに、休まなくてはならないことで、人生の落伍者のような気がしてしまう。
それでもいつか戻れると信じて、薬を飲み続けた。
仕事から離れても、腹痛と下痢はよくならなかった。
私はどんどん焦りを感じていった。
(こうしている間にも、みんな指名されてお客さん取って稼いで…)
気持ちが落ち込んでいく。
毎日書いていた写メ日記も止めた。
出勤できなければ意味がない。
節目には写メ日記を更新したことを思い出した。
お正月、成人の日。
成人の日には、新成人に向けてデリヘルの正しい利用の仕方もアップした。
本番を強要するお客さんが増えないように、デリヘルを楽しめるために。
こんなことを書いたのに、今ではお客さんと接することができない。
その悔しさに歯軋りする日々が続いた。
時はゆるりと過ぎていった。
休んでいる間に、気持ちが鬱々としているのを感じていた。
ランク付けのことが頭をよぎる。
戻っても私は受け入れてもらえないのではないか。
回復しない体調と共に、そんな心配をしていた。
そんなある日、緒方オーナーに用事があってメールを打った。
どうしてもオーナーでなければならない用事だった。
送信と同時にメール受信の着うたが鳴った。
『MAILER-DAEMON』の文字が目に入った。
(まさか)
私は凍りついた。
改めて時間を置いて送信し直したが、やはりMAILER-DAEMONの文字。
知らない間にアドレスを変えられて、教えられていない。
(見捨てられたな)
そう思った。
スタッフに緒方オーナーのアドレスが変わっているようだからと断って、オーナーに伝えて欲しいと用件をメールした。
アドレスに関して言及はなかった。
(働けない人間に用はないんだな)
私はそう悟った。
休んでも治らない体。
知らされなかった緒方オーナーのメールアドレスの変更。
ランク付けの脅威。
私は決心した。
デリヘル嬢を辞めることを。
緒方オーナーにメールを送っても届かず、新しいアドレスも知らされないので、スタッフに「体調が戻らないので、申し訳ありませんが辞めさせてください」と申し入れた。
何か言われるのではないかと恐れていた。
だが慣れているのか、すんなりと「了解しました」だけで事は終わった。
問題なのは、あの最後の仕事の日に、計算ミスでお給料を2,000円多く貰っていたことで、事務所に返金に行かなければならないことだった。
痛むお腹を抱えながら、どうにかお店まで辿り着いた。
どのくらいぶりだろう。
当たり前にいた場所。
今では別世界のように見える。
久しぶりに見るスタッフ。
「お疲れ様です」と事務所に入り、封筒に入ったお金を渡した。
「お世話になりました」
深々と頭を下げ、事務所を後にした。
オーナーはいなかった。
事務所から外に出る通路へ向かった先に見えたのは、以前はなかった入り口に貼られた全身を写す大きな鏡。
ランク付けの新しい「象徴」だった。
ぎゅっとお腹が痛んだ。
(もうここに来ることはない)
そう思い直した。
私は人妻デリヘル嬢を卒業した。
もう、戻らない。
番外編①.お仕事の達成感
私が人妻デリヘル嬢だった時代、お客さんから「この仕事でも達成感ってあるの?」と質問をされたことがあります。
その方にはお答え致しましたが、同様のことを思われてる方もいらっしゃるかもしれないので、書いてみます。
達成感はありました。
本番ではなく、手や口でイカセるお仕事です。
イカセるだけで語るなら、テクニックの度量を計ることになるでしょうから…相性もあるとは思います。
それゆえに口でイッてくれた時の快感、達成感は大きいです。
ただ単にお仕事だからというだけではなく、プライベートでも男性の感じる、イク姿を見るのは大好きです。
だからいきなりのフェラよりも、他のいろんな場所に触れて性感帯を見つけるのが楽しみなんです。
声なんて出されたら、私もめちゃくちゃ感じちゃいますよ!(笑)
だから男性の癒やしになりたかった。
これから先の本編で語りますが、私はいろいろな努力をしました。
最高の癒やしになりたかった。
だから写メ日記の交流も積極的にしてました。
短い間でしたが、ある程度の夢は叶ったと思っています。
苦しいことや悔しいことも沢山ありましたが、私を受け入れてくれて、身体を預けてくれることが嬉しかったのです。
常に癒やしを心がけてきました。
“いちばん”になると信じてやってきました。
みんなに認められたかったんですね。
ある形で私の努力は認められます。
それも追々書いていきます。
今のプライベートでも…努力は実っています。
いちばんではなくても、特別と思われたりすることがあります。
想いは通じるんですね。
これからもこの姿勢は崩しません。
番外編②.『割り切り』における素人と風俗業者の見分け方

出会い系サイトの割り切り募集に風俗業者は多いのか?
これ、割り切りをされる男性ならば気になるところだと思うので、書かせて頂きます。
元デリヘル嬢の立場から思うに、業者がサイトで募集して嬢を派遣するメリットは少ないでしょう。
もしサイトの方で派遣中にその嬢に指名が入ったら、お客さんを待たせることになります。
これがデリヘルとしてのお仕事で派遣されているなら時間の計算もできますが、通常の割り切りならどうでしょうか。
最初から嬢が「絶対に○時までに帰らないといけない」と押し切って、男性がそれに納得していれば別ですが、通常の割り切りは「○分間ね」と取り決めたり、暗黙の了解みたいなものは少ないでしょう。
『男性がイクまでが所要時間』というところではないでしょうか。
ドライバーさんを動かす都合もあります。
女の子ひとりに対してドライバーさんひとりではないですから、やはりメリットは少ないでしょう。
ただ、これは以前体験入店したお店での実話ですが、経営者からある出会い系サイトを教えられ、「ここでお客さんを探してお金は折半するように」と言われたことがあります。
しかしこのお店は、オーナーが副業として経営していたもので、オーナーがドライバーを兼任していました。
オーナーの都合で開けたり閉めたりしているようなお店でした。
だからできたことのような気がします。
業者の見分け方ですが、「これなら確実!」というものはないと思います。
何事にも例外はありますから。
やたらと時間を区切りたがるのは業者でしょう。
これは前述からの理由です。
ただ素人でも、生活のためにスケジュールを組んで、「1時間○円」と決めて行動している女性もいると聞きました。
なので確実な見分け方とは言えません。
もし可能なら、「2回戦できる?」「マッサージして欲しいんだけど、少し上乗せするからお願いできる?」と交渉し、OKが出れば素人の可能性は高まるでしょう。
業者だと時間管理が難しくなりますから。
また、交渉の際にしっかりと会話をすることも有効かもしれません。
楽しく過ごしたい方は特にそうです。
「こんなことがしたい」とお互いに言い合えるのは強いですよ。
これは私の経験からです。
鉄板の見分け方をお教えできない、思いつかないのが残念です。
「日記をしっかり書いていれば素人」という見方もあるのですが、私もデリヘル嬢時代はお客さんとの交流のために毎日写メ日記を書いてましたから…。
ひとつ言えるのは、楽しく会話できる方を探すことです。
そうすればいいことがあるかもしれません。
番外編③.最後に伝えたい3つのこと
お仕事の描写はありません、ご容赦を。
1.本番嬢にリピーターが付くという現実
先日、「デリヘルをわりと利用する」と言う男性とお会いする機会がありました。
その方の話を聞いて愕然としました。
デリヘルは警察の通達で本番禁止となっているのですが、当たり前のように本番をしている嬢が多く、しかも嬢のほうから「していいよ」と誘うのだとか。
本番をさせてくれる嬢は、「本番ができるから」というネットの口コミでお客さんが付くのだそうです。
「本番をさせなかったからリピーターが付かなかったんですかね…」
そう問うと、
「やっぱり本番をさせてくれる嬢のほうが人気が出るよ」
と言われたのです。
(私のしていた努力はいったい何だったんだろう)
そんな気持ちになりました。
いくらテクニックを磨いても、トークに気を配っても、所詮は本番をした者勝ちなのかと。
ほんの数ヶ月間だったけれど、できる限りのことはやりました。
誰にも負けないくらい、営業をした自負がありました。
それなのに、ほんの一瞬で努力が崩されてしまう。
(私が本番を許してしまえば、真面目にやっている他の子にも迷惑がかかってしまう)
そういう思いから、本番を断ってきました。
『本番なしでリピーターを取りたい』という願いは、簡単に打ち砕かれました。
本番せずに頑張ってる嬢はどのくらいいるんでしょうか。
彼女たちに思いを馳せると、なんだか切なくなってきます。
2.自分を偽る虚しさ
一時期、世間を賑わせた食品偽装。
これと似たことが、出会い系サイトでも起きています。
写メ詐欺、プロフ詐欺などが代表的な例です。
顔が細く見えるように撮り方を工夫したり、酷いレベルになると他人の写メを送ったりもします。
「拾い画を使ってるんじゃないか?」という話もよく聞きます。
プロフも年齢や身長、体型、年収を偽り、実際に会ってみると身長が低かったり、年収が高いわりにはやたらと割り勘を要求する。
「グラマーと聞いてたのにドムが来た!どこがグラマーだ!」
「20代と聞いてたのに、どう見ても40超えてる!」
年齢詐称は実際に元同僚がやっていました。
まさにこの例のとおりです。
会ってみて初めて分かる、「嘘をついている」プロフィール。
私は決してやってはいけないことだと思います。
お相手を騙すことになりますから。
ですが、詐称を「出会うために必要なことだ」と推奨している方もいるんですね。
お相手の気持ちはどうでもいいんでしょうか。
出会い系サイトでは、各自が申告したプロフを見て最初の印象が決まります。
身長、体型、顔写メがあればイケてるかどうか、女性なら年収を気にする方もいらっしゃるでしょう。
そこから大まかに振り分けられます。
会話が弾むかどうかも重要だと思うのですが、どうもそこは捨て置かれる傾向があるようです。
そこで私はあることを思い出しました。
人妻デリへル嬢として働いていた頃の話です。
デリへルには「パネル」と呼ばれる嬢の写真があるのですが、これは本人の写真を使っている場合もあれば、お店が用意した写真を使っている場合もあります。
私のお店ではどちらもありました。
入店してからプロフを決めるのですが、身長や胸の大きさ、出来るプレイは自己申告です。
直立での全身写真はお店の管理のために撮りましたが、顔写真は撮っていません。
後日お店のサイトを見ると、私のプロフには全く別人の写真が載せられていました。
『この人誰?』というレベルで、唯一の共通点は茶髪と巨乳だけ。
ドライバーのクロちゃんに「全然違いますね」と言われたほどです。
さて、お客様はそのパネル写真を見て指名されます。
3ヶ月くらいの在籍でしたが、幸いなことに指名を何度か頂きました。
実際にお客様の元へ向かうと、受け入れて下さる方もいらっしゃれば、明らかに嫌そうに「キャンセル」と言い放つ方も何人かいらっしゃいました。
それが続いたある日、同じお店の女の子がパネル写真を撮ってもらったと聞き、私もパネル写真を撮って頂けるよう志願しました。
答えはNO、「自分の写真載せたら、指名減りますよ」と言い放たれました。
打ちのめされた気分でした。
頑張っているからと、あれだけ毎日イチオシに載せて下さっていたのに…その言葉に強いショックを受けました。
「努力は買うけど、商品としては失格だよ」ということなのでしょう。
その頃から持病が悪化し、やむなくお店を辞めましたが、あの時のリベンジができなかった心残りがあります。
話を出会い系サイトに戻します。
確かにプロフを偽れば、出会いの機会は増えるでしょう。
でもそれは偽りの情報。
実際に会ってしまえば、それまで築いたものは砂の城のように脆く崩れてしまいます。
それこそ「キャンセル!」と言われたり、最悪すっぽかしを喰らいます。
騙されているのですから。
それでもあなたはプロフ詐欺を続けますか?
3.ドライバーがいるからデリヘル嬢は働ける
デリへルのお仕事をしている時、お客様からこんな質問を受けたことがあります。
「今払ったお金って、お店と折半するの?」
わりと聞かれることが多い質問です。
そんな時、私はにっこり笑ってこう答えます。
「いいえ、お店と私とドライバーさんと1/3ずつですよ。ドライバーさんあっての私達ですから」
実際の分配率はわかりません。
何割貰っているのか、あまり考えずにやってきました。
でも気持ちの上では、いつもこのことを頭に入れてお仕事していました。
ホテルや駅、お客様のご自宅まで運んでくれるドライバーさんがいなければ、私達はお仕事ができないわけですから。
徹底的に経費削減を狙い、激安店として勝負をかけようとしたのか、「女の子が自転車を漕いでホテルまで出向くお店が増えている」という話もオーナーから聞きました。
雨の日の女の子は悲惨です。
メイクは落ちるし、いくらレインコートを着ていても、「商品」である女の子の着飾りも台無しにしてしまう。
そう考えると、やっぱりドライバーさんの存在は偉大です。
私は持病として過敏性腸症候群を患っていて、デリヘルで働き始めた結果、それが再発した形になってしまいました。
移動中にコンビニへ駆け込ませてもらったこともあります。
その際にドライバーさん自身の話になりましたが、「女の子を移動させるためには、たとえ自分がトイレに行きたくても我慢するしかない」と言っていました。
休憩中にうっかり激辛のつけ麺を食べてしまって下痢になり、運転がままならないこともあったそうです。
それでも、「ただひたすら我慢して女の子を運ぶことに徹する」と聞いた時、コンビニに駆け込んだことが申し訳なくなってしまいました。
その後、私は過敏性腸症候群が悪化して退店せざるを得なくなるわけですが、安心してホテルや駅やご自宅まで行けるのは、ドライバーさんの庇護のおかげだと改めて感じたのです。
そんな縁の下の力持ちであるドライバーさんの裏話を、お客様はどのくらい知っているのだろう。
デリヘルを利用される方々に、『たまには目の前の女の子だけではなく、その女の子を運んで来てくれるドライバーさんたちに思いを馳せて欲しいな』と願うことは我侭でしょうか。
ドライバーさんがいるから、私達がいる。
そしてデリヘルで働いている女の子たちにも、それを自覚して欲しいのです。
ドライバーさんがいるから、私達もお客様からお給料を頂けるのだと。
どの世界にも、裏方さんはいます。
そのおかげで働ける。
そのことを、忘れないで欲しいのです。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事で、【私は人妻デリヘル嬢】シリーズは本当に終わりです。
これからデリヘルで働こうとしている女性、デリヘルを頼もうとしている男性のお役に立てば嬉しいです。
長らくのご愛読、ありがとうございました。