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【元裏DVD販売人シリーズ①】下準備とトラブルに追われた販売開始~序盤期編

新宿歌舞伎町
東京アップデート編集部

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夜遊びから大人の出会いまで、幅広い情報を取材してます。ネタ収集が毎日の日課。

過去に裏DVD販売で逮捕・起訴、そして受刑生活をしてきました。

なんとか罪を償い出所してきたので、その体験談を書いていきたいと思います。

裏DVDサイト運営者の苦労話、トラブル、笑える話。

読み物として楽しんで貰えたら幸いです。

チャプター1.僕が裏DVDを販売しようと思ったきっかけ

僕がなぜ裏DVDを販売しようと思ったのか?

「主犯に誘われ、断りきれなかったからです」と言いたいのですが…。

裏DVDサイトの運営者が逮捕されたニュースを見ると、『数千万から数億円の売上』と書かれてあったことがとても魅力的でした。

これは金になる…それも短期間で。

幸い、僕はサイトの構築技術があります。

サーバー管理も出来ます。

元々そういう会社を運営していたのだから当たり前ですが。

主犯に「●●(僕)の役目は裏DVDサイトを作成して運営していくだけでいい」と言われました。

それなら本業の片手間で稼げますし。

「配送係やDVDを焼く係は別に準備する」と言われたことも魅力的でした。

そんな話を聞いて心が動き始めた時、「わいせつ物頒布等の罪」は最高刑が2年以下というのが最大の決め手になったのです。

初犯ならば確実に執行猶予。

それに短期の軽い刑で稼げるなら…そう決心したのです。

こうして裏DVDサイトを立ち上げることになりました。

裏DVDだろうが正規のDVDだろうが、ショップ運営には苦労が付き物です。

違法サイトほど集客に苦労するものはありません。

グーグルアドセンスなどの広告が使えない。

アダルト禁止のリンク集やサイトが多い。

相互リンク先は少ない。

SEOで勝負するのに、これほど苦労したことはありませんでした。

でも、違法サイトならではの強みもありました。

そして、お客とのやり取り。

クレーム処理。

イタズラ注文。

生焼け(見られないDVD)の返品・再送。

間違い注文。

PCを使えない、顔を見たことも無い共犯者達。

今ではネットが発達し、スマホもありますから、裏DVDや無修正動画は無料でいくらでも見られます。

現存の裏DVDショップは売れているのでしょうか??

次は裏DVDサイトの苦労話を書いていこうと思います。

チャプター2.開店準備

裏DVD屋をするにしても、まずは準備が必要。

準備と言っても機材などは当然として、1日でも遅く捕まる方法が大切です。

捕まる事を前提で行うからには、稼ぎは1円でも多い方がいいに決まってます。

僕は捕まりにくい方法を色々考え、相談しました。

例えば、

  • 隣の部屋から無線LANでアクセスする
  • PCを遠隔操作する
  • 他人名義の口座を使う

などなど。

ホント色々考えました。

結局こちらでは書けない方法を選択しましたが、捕まったのだから、やはり「デジタルよりアナログが強い」ということでしょう。

アナログは電気要りませんし。

用意した物をいくつか書くと、

  • 逮捕役名義のキャッシュカード
  • 逮捕役名義の代引きの振り込み先口座
  • 逮捕役名義のマンション

などです。

架空口座には手を出しませんでした。

警察がどの程度こんな特例法に力を入れてくるか分かりませんが、レンタルサーバー(以下、レンサバ)のログからは足が付きにくくしました。

ちなみに、1度だけ犯罪予告を2ちゃんねるに書き込むとかのレベルなら、分からない方法は知っています。

ですが、日常的にアクセスするならこれは手間です。

携帯電話を使わず、毎回公衆電話で友達に連絡できますか??

面倒くさくなって、そのうち携帯で連絡してしまいます。

逮捕役の様々な契約が済んだら、次はレンサバを契約します。

もちろん海外、カリフォルニアです。

日本にもアダルトOKなレンサバはありますが、明らかな違法サイトではいきなりのアカウント削除もあり得ます。

ビジネスとしてやっていくのだから、アカウント削除は厳しいです。

その他にも、仕入れはどうするのか、価格はどうするのか、ショッピングカートは何を使うのか、などなど問題が山積みです。

DVDを一気に数枚焼くことの出来る「ディプリケーター」や、何台ものPCが必要です。

そして顔を見たことが無く、PCを使えない人でも焼けるようなセッティングも必要になります。

何せメールさえ出来ないのですから。

その辺りの苦労話も後ほど書きます。

ホント前途多難な準備期間でした。

チャプター3.“ガサ入れ部屋”の確保

これからは、主犯のことを「ボス」と呼ぶことにします。

裏DVDをネット販売するにあたってまず考えたことは、

『いかに捕まらないかではなく、いかに遅く逮捕されるようにするか』

でした。

そこで、裏DVDの配送や作成をする部屋とは別に、ネット・サーバー契約を行う“ガサ入れ用の部屋”を借りることにしました。

警察がレンサバ会社にアクセスログを求めても、この部屋しか出ないようにするためです。

もちろん、サーバーへのアクセスは全てこの部屋から行います。

「ザ・隠れ家」という言葉がピッタリ

ガサ入れ部屋と名義人はボスが準備してくれました。

『部屋の名義人=全ての名義人=逮捕役』です。

後にこの名義人は逮捕されたそうですが、どんな処分になったのか正確には知りません。

初犯らしいので、きっと執行猶予か罰金だけで終わったのだと思います。

顔も知らないですし、名前も忘れました(笑)

自宅からガサ入れ部屋のPCを操作するにしても、セッティングは現地へ行かなければなりません。

この部屋のPCを「1号機」と呼ぶことにします。

実際は別の場所に2号機があり、それも踏み台にしていました。

僕達のおおまかな考えとしては、

  • まず1号機の部屋に警察が踏み込む。
  • 1号機を調べる。
  • その間に全ての証拠を消して撤退。
  • 逮捕しに来た時には物証が無い。

こんな感じでした。

このように事が運んだかどうかはまた書きたいと思います。

ガサ入れ部屋に初めて連れて行かれた時、「ザ・隠れ家」という言葉がピッタリでした。

建物自体は古くないのですが、「他に誰か人住んでるの?」という雰囲気です。

部屋を見たら、その雰囲気が増しました。

トイレ、キッチン、TV、ビデオデッキ、お風呂もあります。

更にエアコン完備です。

しかし、逃走犯が潜んでいそうな部屋なのです。

光回線はもう既に引いてありましたから、ボスと2人でPC2台を搬入します。

もちろんマウスやモニターも運び込みます。

セッティングが終わったら、PC本体以外は全て引き上げます。

PCを運び込むと意外に忘れ物が多くなります。

マウスパッドが無かったり、PCを操作するテーブルが無かったり。

寝転んでPCをセッティングしたのも人生初めてのことです。

遠隔操作用のVNC(ネットワーク上の離れたPCを操作するためのリモートデスクトップソフト)をインストール、ルーターのポート開放。

そしてIP(IPアドレス、ネットワーク上の機器を識別するための番号)が変わった時のために、IPをメールで通知してくれるツールを導入。

それだけのセッティング予定だったのですが、自宅から操作するより現場で操作した方が快適なので、セッティングは深夜にまで及びました。

おまけに、プロバイダの契約書をボスが忘れてしまって…。

それではIDやPASSが分かりません。

メールもフリーメールをガンガン転送設定していきます。

サーバー契約もこの時に済ませました。

確か月々3万前後のプランに加入したと思います。

もちろんアメリカのレンサバ会社なので、全て英語です。

しかし、僕の英語力は中学生程度。

苦労しましたが、結局最後まで問題なく出来ました。

エキサイト翻訳に感謝です。

1号機がある「ザ・隠れ家」は、ホントに最後までトラブルを続出してくれます。

このセッティングをしながら、

『これで後には引けない。僕も裏DVD屋になったのだ』

と思ったものです。

今でもハッキリと思い出せます。

暑い暑い夏の日でした。

ボスの家に戻り、1号機へのアクセスチェックをして、現地でのセッティングは完了しました。

チャプター4.レンタルサーバー選び

裏DVDサイトを立ち上げるにあたって、悩んだのがレンタルサーバー(以下、レンサバ)選びです。

今回は専門用語を使っていますので、興味の無い人には全く分からない内容かもしれません。

契約は全て英語、鬼のように苦労する

日本国内はもちろんダメ。

回線が不安定な国もダメ。

条件としては、以下を満たすレンサバを選びました。

  • アダルトOK
  • マルチドメインOK
  • データべース(MySQL)が5つ以上使える
  • Apacheである
  • SafeModeが解除できる
  • CGIが利用可能
  • cronが利用可能
  • .htaccessが利用可能
  • PHP5・MySQL5・FTPS(FTP over SSL)などに対応
  • ドメイン管理をしてくれる
  • 共有サーバーから専用サーバーまでの契約変更が楽

そして安いことが最大の条件です。

この条件を満たすレンサバが、やはりアメリカにありました。

最初は、月々2万5千円ぐらいだったでしょうか。

ここから、エキサイト翻訳が大活躍です。

鬼のようにググり、鬼のように使いました。

そして鬼のように苦労しました。

しかし、全ての条件を満たすレンサバは中々無いものです。

適当なところを見つけ、契約。

ちなみに、共有サーバーならクレカ情報だけでOKです。

専用サーバーの契約時には身分証の提出を求められます。

契約内容も、契約後のやり取りも全て英語。

エキサイトに感謝です。

契約が終了すると、即ドメインを取得。

もちろん「サイト名+dvd.com」のように、ドメインにもDVDというキーワードを盛り込みました。

管理画面が日本語対応だったのには感謝です。

ドメインが安定するまで、約72時間ほどかかりました。

ローカル環境で既にサーバーなどを準備しており、サイトもほぼ出来上がっていました。

サイトの構築を外注に出そうかとも思ったのですが、

『裏DVDサイトを構築した会社が摘発』

というニュースが流れていたので、どこも作成してくれないだろうなと思い、自分でコツコツ作り上げました。

本業そっちのけです。

スタッフには協力させませんでした。

いや、バナーなどは作ってもらったような、そうでないような。

バナーは数種類必要です。

ランキングサイトに登録する時や、自分の裏DVDショップにリンクしてもらう時のためです。

カートも「EC-CUBE」や「ZenCart」などを使わず、自作品のカートです。

今にして思えば、「ZenCart」を使った方が、確実に快適で安定していたと思います。

自作のカートは、設計図すら見失っている状態で探し回りましたから(笑)

改造する時にとても苦労しました。

EC-CUBEは本業でちょくちょく使わせてもらっていましたが、やたらバグが多い……。(今は知りません)

そして、商品数が多くなると話にならないくらい重い……。

本題に戻ります。

・データべース(MySQL)が5つ以上使える

マルチドメインで複数サイトを運営しますから、とても5つでは足りません。

「MovableType」や「WordPress」をインストールしますし、他にも使います。

かなり負荷をかけるスクリプトも準備していました。

しかし、(当時は)安い共有サーバーでは5つぐらいしか無かったので、1つのデータベースに複数インストールして使っていました。

最終的には、無制限の専用サーバーにするんですが(笑)

複数サイト(サテライト含む)を運営しないと、とても大手にはSEOで勝てませんから。

違法裏DVD販売サイトは、さすがに検索エンジンには広告を出せません。

ここが一番苦労したところです。

一般サイトならSEO対策をしなくても、「GoogleAdSense」などで広告を出せばそれなりに売れます。

成約率が高いサイトをしっかり作れば、(当時は)広告費をかけてもバンバン売れます。

チャプター5.裏DVDショップ開店

裏DVD屋を開店する準備が整ってきました。

海外にレンタルサーバーも借りました。

ドメインもサイト名も勝手に決めました。

ショッピングカートも決めました。

後で分かることなんですが、ここで決めたショッピングカートは失敗です。

オリジナル品ではなく、「ZenCart」がお勧めです。

理由は、商品数が増えても軽いから。

日本製の「EC-CUBE」よりも断然お勧めです。

もちろん良い点もあります。

メイドインジャパンなので使いやすい。

カスタマイズが容易などなど。

今回作ったオリジナルカートは携帯サイト対応、ポイント付きです。

裏DVD屋でポイントを発行するなんて、うちのショップくらいしか無かったのではないでしょうか??

会員になると、1PT1円で次回注文時に使えます。

扱っている商品が「違法」なだけ

どのショップやサイトにも言えますが、検索エンジンに上位表示させる努力が必要です。

つまりSEOです。

サイト名は「裏DVD販売の●●」、キーワードはもちろん「裏DVD販売」です。

サイト名に狙うキーワードを埋め込むのは当然のことです。

サイト作りと同時に、ボスにPCの使い方を教えました。

ボスはエクセルが少し使える程度。

DVDを焼くなんてことは全く初体験です。

僕はDVDを焼いている所に常駐はしませんから、どうしても憶えてもらう必要があったのです。

DVDの焼き方、盤面印刷の仕方まで、きっちりマニュアル付きで教え込みました。

盤面印刷とは、DVDの表面に印刷している左図のことです。

盤面印刷は100円増しと決めました。

価格も当時主流の700円でスタート。

またボスのPCは、僕の自宅から遠隔操作が出来るようにもしていました。

開店時には、250点の商品を入れておきました。

一気にCSVか何かでカートに登録できればいいのですが、そんなことも出来ず、1枚1枚手動入力です。

腱鞘炎になったくらいのマウス操作をしたのは、人生で初めてのことでした。

最終的には、1日に40枚の商品を追加できるように半自動化のスクリプトを組みました。

250枚のスタートでは他社の数千枚に及びもしません。

SEO的にもサイトの厚みが少なく、とても検索エンジンでの上位表示はムリです。

結果的には1,500枚を超えた辺りで、Google、Yahoo!共に「裏DVD販売」で検索すると1ページ目に表示されるようになりました。

つまり10位以内です。

当時はGoogleとYahoo!では検索結果が違っていたのです。

ちょっとSEOをしている人なら分かると思いますが、「裏DVD販売」でググッてライバルを見て下さい。

そしてどんなSEOをしてるか調べてみて下さい。

なかなか簡単に上位表示させてくれないライバルばかりです。

広告が全く使えない違法サイトだけに、上位表示は売上アップには必須です。

検索エンジンに信頼されるには、

「サイトマップ」

「お客様の声」

「よくある質問」

「会社案内」

「特商法表記」

「お問い合わせ」

などが必須です。

どの裏DVDサイトもしっかり作っていると思います。

普通のネットショップと何ら変わりはありません。

扱っている商品が「違法」なだけです。

今回一番苦労したことは、このSEO対策と、PC初心者のボス達にPCの使い方を教えることでした。

商品の仕入れは同業者のライバルからです。

あるショップが安くて、主に盤面印刷のデータごと購入していました。

今は残念ながら摘発されてしまった様子です。

開店当初は、一度に数百枚単位で購入していました。

初めて注文する時は、『本当に裏DVDが届くのか?』と不安で30枚くらいテスト購入。

しかし、あっという間に数百枚単位での仕入れに。

実際に届いてみると、唖然。

『こんなに商品を入れるのか?』と(笑)

決済方法は全て代引きです。

代引き手数料が高く、1万円以下の購入では手数料を1,500円貰わずにはいられませんでした。

開店後しばらくは、ボスと僕の2人だけで全ての業務を行っていました。

こうして、とうとう億の売り上げに向けてスタートしたのです。

チャプター6.売れないDVD

オープンして2週間以上は、裏DVDが全く売れない状態でした。

アクセス解析を見たら、多少はアクセスがあります。

毎日数百は確実にありました。

それでも、1つも売れません。

ショッピングカートが壊れているのかと思い、何度も自分で注文してみたくらいです。

もちろん、携帯サイトもです。

会社のスタッフ全員で、SEO対策、裏DVD入れを行う

検索エンジンで「裏DVD販売」で検索しても100位以下の圏外です。

サイトマップをYahoo!やGoogleに送るなどの基本的なことは行っています。

新しいドメインで、他社と比べても商品数が少ないのだからムリはありません。

商品を入れながら、裏DVDのランキングサイトに登録をしました。

とは言え、ランキングサイトからクリックしてくれる人がいるとは思えません。

裏ツールを入れて、不正なランキング操作を始めました。

IP偽装やブラウザ、解像度などもごまかせる中々の優れ物です。

トップページにも、逆アクセスランキングを設置している一般サイトに強引に参加してもらいました。

そういった更新していない一般サイトの逆アクセスランキングを無理矢理利用するために、トップページにタグを埋め込んでいたのです。(トップページは一番アクセスがあるため)

今考えると、裏DVDランキングからの来客なんて1%以下なので、ほとんど意味がありません。

逆アクセスランキングに関して言えば、リンクが自動で張られるため、被リンクを得られるという点では大変有効だったと思います。

今ならばTwitterなど、別のアクセスアップをしていることでしょう。

「メルアドを買ってスパムメールを送ろう!」

こんな話もボスから出てきましたが、これは反対しました。

違法サイトを運営していて言うのもなんですが、僕はスパムメールが嫌いです。

それに、スパムメールで物が売れることはほとんどありません。

まだ注文もまばらで、3~5日に一度の注文という日もありました。

長い長い売れない期間です。

初めて売れた時は大変嬉しかったことを憶えています。

どうしても検索エンジン、特にYahoo!での上位表示が必須になります。

そこで会社のスタッフ全員で、SEO対策、裏DVD入れを行いました。

もう、完全に意地とプライドでした。

他社サイトの商品の入力スピードが異様に速いことにも驚かされました。

とても1人でHPを管理しているとは思えません。

数人で作業したこともあって、およそ2ヶ月後には商品数が1,500点を超えました。

サイトのボリュームを出すために、同じサイト内にブログも開設しました。

ブログでは主に商品の更新履歴をお知らせしていました。

メーカーのAV紹介文ではなく、僕が見た商品の感想を書いていたのです。

一気に売れ始め、ボスから悲鳴が聞こえてくる

そして約40日後には、なんとかYahoo!で13位前後、Googleでは8位前後にまでこぎつけました。

当時のGoogleの良いところは、PCの検索結果とモバイルの検索結果が同じだったことです。

今は知りません。

ちなみに、「Googleモバイル」では3位までが1ページ目に表示されるので、目標は3位以内です。

上位表示されているサイトには、有料でリンクを買っていると思しきサイトが多数あります。

この時ほど、他社のSEOを勉強したことは無かったでしょう。

一般サイトならば、それほど苦労せずとも上位表示は出来るからです。

この時点で、毎日少しずつ売れ始めました。

でも売り上げは月に25万あるかないかです。

少なすぎます……。

レンタルサーバー代も馬鹿になりません。

ちなみに、同時期に他の裏DVD屋さんとお話しさせてもらいました。

その方は10年間で3度逮捕されたとの事。

雑紙からのカタログ販売をしていたそうです。

全くPCが使えず、顧客は大学ノートで管理しているとのことでした。

カタログ式の裏DVD屋の方が、SEO対策も不要で『なんとなく楽そうだな~』と感じてましたが、それなりに苦労があるようでした。

それ以降、固定客はじわじわと増えていきました。

3ヶ月を超え、朝目覚めてから順位チェックをすると、Yahoo!で1位になっているではありませんか!

大喜びしてボスに報告すると、あまり関心が無いような声で「へ~」と一言。

Yahoo!で1位の凄さがボスには伝わりません。

Googleは相変わらず7、8位をうろちょろ。

最終的には「DVD販売」と検索しても、一般サイトを押しのけ上位表示されていました。

Googleさん素敵です。

そして一気に売れ始めました。

焼く係りのボスから「とても間に合わない」「夜も寝れずに配送業務をしている」との悲鳴が聞こえてきました。

しかし、それ以外の恐ろしさもありました。

『あまり目立つと逮捕が早まる』という危機感です。

そんなある日、ボスが

「人を雇わなければ間に合わない」

と求人を始めました。

それもボスの人脈で。

これがPCを使える人なら良かったのですが、全く使えません。

そして人を雇った途端、とんでもない事が起こったのです。

チャプター7.Yahoo!からサイトが消えた

Yahoo!で1位になっているだけあって、注文が鬼のように入っていました。

とてもボス1人では焼くことが出来ません。

ボスからは「寝てない」なんて声も聞こえますし、確かに深夜3時頃、ボスのPCを遠隔で見てみても作業をしていました。

裏DVDを効率良く焼くために

他社は予めDVDを焼いていて、それが無くなったらまた数枚焼くという方法を取っているようですが、うちでは受注後に「デュプリケーター」で焼くようにしていました。

デュプリケーターの操作にはPCを使います。

一度に複数枚のDVDを焼ける優れ物ですが、焼き上がるスピードが遅いのがネックです。

全ての裏DVDデータをHDDに保存していましたから。

ボスが見つけてきた新人君は、月収30万円で雇用したようです。

僕が裏DVDの製造場所へ行くときは、常にボスしかいないように気を使ってくれていたので、その新人君の顔も名前も全く知りません。

検索エンジンの1位と2位では雲泥の差があります。

これは過去の経験から十分知っています。

しかし、裏DVDがここまでとは思いませんでした。

おそらく他社のWEB担当者も、いきなり無名の裏DVD屋に1位を横取りされて驚いたことでしょう。

僕も1位に驚いたのですから。

採用した新人君は全くPCが使えません。

同じくほとんどPCを使えないボスが彼に教えるのだから面白いもんです。

僕がボスに電話でPCの操作方法を教えていると、その当時の同棲相手が

「説明を聞いているこっちが憶えた」

と言うくらい大変苦労しました。

教えると言っても、盤面印刷の仕方とDVDの焼き方だけなので大したことではありませんが。

「TDP」を食らい、売り上げはガタ落ち

しかし、世の中常に上手くいくとは限りません。

新人君が来てから、Yahoo!でいきなり「TDP(トップページ・ダウン・ペナルティー)」というペナルティを食らったのです。

このTDPは、Yahoo!で自サイト名を検索しても、自サイトのトップページが表示されなくなるというもの。

それだけではなく、「裏DVD販売」と検索しても圏外になります。

お陰様で売り上げはガタ落ち。

どんなに検索しても、検索結果に表示されないのだから当然です。

一般のネットショップですら、TDPを食らうと明日からの売上がゼロになる恐ろしいペナルティです。

Googleにも「Google八分」というペナルティがありますが、それ以上に深刻なダメージとなります。

なぜならば、

『Googleからの来客はお金にならない』

が定説だからです。

この当時、日本ではYahoo!を使うユーザーが圧倒的に多く、初心者も多かったのです。

検索結果はGoogleの方が素晴らしいにも関わらず。

ちなみに現在、Yahoo!とGoogleは同じ検索結果になります。

さて、売り上げがいきなり落ちても新人君をクビにするわけにはいきません。

それよりも、僕の仕事はTDPを解除してYahoo!で上位復活することです。

この期間、ありとあらゆる情報、スタッフを使い、様々なことにチャレンジしました。

しかし、アダルトに関してはYahoo!のフィルターが変としか言いようがありません。

解除方法を書いてもいいのですが、専門的な内容になるので割愛します。

約1ヶ月後、Yahoo!で3位にまで浮上しました。

同時にGoogleも3位前後で安定するようになりました。

売り上げは前以上、リピーターも含めて鰻上りです。

それまでの間、ボスは仕事が少ない新人君に月給30万を払っていました。

利益の上昇に伴い、更に2人を雇用し、僕を含めて5人体制になりました。

このメンバーが最終的に逮捕されるまでのスタッフです。

新人君達とボスは、この後に大きなミスをしてくれます。

それは次回のお話。

チャプター8.ボスと新人君がやらかした

新人を1人雇ってすぐに、ボスと新人君が大きなミスをしてくれました。

当裏DVDショップの場合、全ての無修正DVDをHDDにコピーし、それを注文に応じて焼いて配送していたのです。

つまり在庫が全く無い状態です。

余談ですが、後の留置所で隣の部屋にいた人に話を聞いたところ、その人の店では常に5枚ずつ焼いていて、無くなったら追加でまた5枚焼いていたそうです。

常に商品数の在庫があるということですね。

もうこの仕事辞めようかと思った……

どちらもデュプリケーターを使ってまとめて焼く点は共通しています。

同じタイトルを焼くか別のタイトルを焼くかの違いです。

ただ、当店の方がどうしても焼き上がりスピードが遅いのは確実です。

さて、HDDには裏DVD原盤からのデータ、盤面印刷の画像データの両方を入れて管理していました。

が、なんとボスと新人君が2人揃ってデータをオール削除してしまったのです。

言い訳は、PC初心者の鉄板である

「何か出たからボタンを押した」

このPC初心者のボス達はキーボードを触り、『○○はごみ箱に対して大きすぎます。このファイルを完全に削除しますか?』に対して『はい』を押したに違いない。

当時、既に2,000枚弱の裏DVDが入っていました。

自宅のPCからボス達のPC経由でHDDを覗いても、綺麗に何もありません。

データ復旧ツールを使うことも考えたのですが、とても遠隔操作で出来るとは思えませんでした。

僕も本業が忙しく、そんなに時間を割くゆとりがありません。

そこで一言、

「また1から入れて下さい」

と突き放しました。

タイトルごとにフォルダを作って、そこにDVDを吸い上げて入れていたのですが、「そのフォルダも作れない」とボス達は言い張ります。

仕方ないので商品データをダウンロードし、ツールを使って自動的に空のフォルダを2,000個作り上げました。

この時ほど、フリーソフトに感謝したことは無いかもしれません。

僕だけでなく、この裏DVDショップも通常業務が続いています。

それほど忙しくないとはいえ、1日に100枚以上は焼く必要があるのです。

ボス達はまず注文分をHDDに入れ、そして残りは数日かけて入れたようです。

ボス曰く、

「もうこの仕事辞めようかと思った……」

とのことでした。

※画像は不織布(ふしょくふ)ケース。

「盤面なし」の商品の場合、他社ではDVDの表か不織布に商品番号を書いているお店が多かったのですが、ボスはそれにもタイトルだけを黒字で印刷していました。

その印刷文字も2,000点作る必要があり、

「なんか、マウスを使うと手首が痛い」

と電話がかかってきました。

「ボス、それは腱鞘炎です」

なんて言えませんでした。

『はい』を押したあなた達が悪いんです。

このボス達のミスから、HDDの設定で「削除不可」にしたのは言うまでもありません。

それにしてもDVDの焼き方すら知らなかったボス達が、逮捕前にはスムーズなマウス運び、ムダの無い操作が出来るまでに成長していたのは、とてもビックリしました。

ちなみにオール削除は、これが一度きりでした。

しかし、まだまだ笑えるミスを提供してくれます。

何度電話で切れそうになったことか……。

次回は「値下げしたらバカ売れした話」を書こうと思っています。

まとめ

まとめ(シュウジ)

今回は、シリーズ前半としてオープンから販売開始序盤の頃のことを紹介しました。

裏DVD販売も、普通のインターネットビジネスと同じです。

結局は検索で上位に表示されるように試行錯誤し、お客さんを獲得していく努力が必要になります。

サクッと大金を稼げそう!と思っていた方には、夢のない前半パートになってしまっって申し訳ないです。

このシリーズは、また続編を投稿予定になります。

ちょっと珍しい業界の裏側を見るような気持ちで、読み物として楽しんでくれれば嬉しいです。

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